ホーム小宮山建の主張イラク攻撃 を中止し平和的解決を

 

イラク攻撃を中止し平和的解決を


 米英は3月20日、ついにイラクへの攻撃を開始しました。イラクからは、一般市民が犠牲となっている悲しい知らせがつぎつぎと報じられています。市街戦が始まれば、さらに多くの市民が殺されることになります。イラク民衆のいのち、とりわけ、その中の半数を超える子どもたちが危険にさらされてい ます。また、水道、電気など都市のインフラが破壊されれば、深刻な食糧危機が起きてしまうでしょう。

 このイラク攻撃は国連安保理での議決を得ていません。国連の大勢はこの攻撃を認めてはいないのです。それにもかかわらず米国は、これまでの国連による平和維持システムを破壊して、独立国を力ずくで転覆しようとしています

 米国は、大量破壊兵器の放棄を求める国連決議にイラクが従わないことを、攻撃の最大の理由にしています。 確かにフセイン政権には少数民族への迫害など許し難い問題があり、決議に違反する行為は非難されるべきです。
 しかし決議違反はイラクだけではありません。これまで11カ国が計90以上の安保理決議に違反し、そのうちの大半は米国が軍事、財政支援している親米国家であることが分かっています。 今回ブッシュ政権は世界の30カ国近くが今回のイラク攻撃を支持していると言いますが、実はその3分の1は、イラクと同様の非民主的独裁政権であり、イラクと違うのはただ一点、「親米」であるということだけだと言われています。特に決議違反のトップはイスラエル(違反数32)であり、ブッシュ政権に強い影響力を持つ新保守主義者たちと密接につながっている国なのです。このことを見ても、イラク攻撃が米国の勝手な都合によるものであることは明らかです。

 小泉首相は、ブッシュ政権のイラク攻撃を支持すると表明しました。「日米同盟」と「北朝鮮の脅威」をその理由にしています。

 しかし、同盟国だから支持するというのも理屈になりません。現に攻撃反対のフランス、ドイツ、ロシアも米国の同盟国です。相手が間違いを起こそうとしているときは、それを正していくのが真の「同盟国」であるはずです。相手の言いなりになっているだけなら、それは「同盟」ではなく「隷属」でしかありません。

 また、アメリカを支持しなければ「北朝鮮の脅威」から日本を守ってもらえない、というのも、まったく正反対の論理です。日本がアメリカを支持し戦争に加担することこそ、北朝鮮に日本への憎しみを増幅させ、日本国民を攻撃の的に差し出す愚かな行為なのです。

 「戦争は短期に終了し、早期の“民主的”政権樹立」という米国の勝手な見通しはあてがはずれ、今、戦争は泥沼化、長期化の様相を示し始めています。米国が“共闘”を期待したイラク国内の反体制派も、むしろ「侵略者」米英に対する非難の声を高めています。こうした中で米国防総省は劣化ウラン弾の使用を公式に表明しました。放射能をまき散らす非人道的兵器が、罪のない市民や子どもたちに向けられています。さらに、化学兵器、燃料気化爆弾、クラスター爆弾、超大型爆弾「モア」等々、ジュネーブ条約や人道法に反する多くの種類の非人道兵器が使われようとしています。

 このように米国こそ核兵器を初めとする大量の非人道的兵器を保有し、実際に使用しているのですから、米国のイラク攻撃にはまったく正当性はありません。米英軍は直ちにこの戦争を中止し、イラクの国土から撤退すべきです。

(2003,3,30  小宮山たけし記)

 

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