住民が主役の町を創ろう
島と海の世紀
東京から太平洋を南へ連なる伊豆諸島と小笠原諸島。この島々が日本にとってかけがえのない大切な存在であることを、島に暮らす私たち自身が、今しっかりと自覚する必要があります。島の風土や文化を知り、島の歴史を振り返りながら、島と海の立場から日本全体を見渡す。そうすれば、この八丈島がそこに住む人々だけのものではなく、もっと大きな役割をもっていることに気付きます。
都市型の利便性ばかりを追い求める時代は終わりました。21世紀は、地球環境を守り、自然と共生しながら人間性の回復を求めていく時代です。そのために、島と海の役割はいよいよ重大になっています。
新しい発展への道
東京から遠く離れた八丈島は、黒潮の急流によっても本土との行き来をさえぎられてきました。しかし島の先輩達が早くから取り組んできた結果、全国離島の中でも有数の空港、商港が整備されました。また、通信手段も、無線設備、海底ケーブル等の設置によって、本土との間でまたたくまに情報を伝えあう環境が整っています。
さらに今、新しく国際性、個別性、双方向性を備えた情報技術が進み、都会から遠いという不利な条件にあった八丈島の産業にも、新たな発展の可能性を予感させています。本土から隔てられていたことによって守られてきた美しい自然、そして黄八丈や八丈太鼓などの世界に誇れる文化。これらのすばらしい資産を、発展した交通通信手段によって、全国、全世界の人々に伝え、提供できる時代が開かれようとしています。
町づくり戦略
そのために今必要なのは、島の情報を集め、まとめて、産業基盤を再編しながら、外に向かって発信していくという町づくりの戦略です。そして、この事業を、農漁業、商工業、観光産業、そして様々の文化活動に日常的に接している、住民自身の主体性によって進めていく事がとりわけ重要です。
各分野で活躍する住民が連携したネットワーク、その情報を整理し総合的に発信していくワーキンググループを新たに作っていかなくてはなりません。また、この住民自身が担い手となる町づくりの仕組みは、八丈島の抱えている環境、福祉、教育、医療など、他の重要課題を解決していく上でもきわめて有効に働くでしょう。
住民主役の町
21世紀は「地方の時代」と言われています。町づくりを国や都にたよるのでなく、地域の生活に根ざした住民自身の発想にもとづいて行う時代になるのです。議会は住民の意志を行政に反映させる役割を持っています。民意を常に正確につかみ、それにしたがって町づくりをすすめていくことこそ、議員の最も大切な使命なのだと思います。
今こそ、八丈町において住民主役の町づくりをすすめる時です。町の大事な情報をすべて住民に伝え、住民自身の判断に基づき、住民のために役立つ議会、住民のために働く議員が求められています。