ホームニュースたけしの議会レポート(1 4)


浅沼第2期町政の施政方針を質す

第1回定例議会(2005年3月9日〜30日) 

浅沼町政が2期目に入っての初めての定例議会(3月議会)は、3月9日から30日の会期で始まりました。
 まず9日には新年度へ向けての町長の施政方針が示されました。その中で町長は、特に「安全安心のまちづくり」として、生活安全条例の制定、防災マニュアルの作成、新庁舎の建設などの施策を冒頭にとりあげ、その上で環境、産業、福祉等の具体的施策に言及しました。
 この施政方針の表明に対し、2週間後の23日の開かれた3月議会2日目で、8名の議員が一般質問が行いました。また、それに続いて、新年度の予算案が上程され、 30日までの会期で審議の結果すべて賛成多数で承認可決しました。

なお、私は、以下の2つの点について一般質問を行いました。
(1)町の防災無線は災害時に充分にその機能を果たせるか。
(2)農漁業への新規就労を促進するために町の総合対策を求める。

                

私の一般質問要旨

 去る3月9日に、平成17年度に向けての町長の施政方針を述べられ、新年度予算案も示されました。国の財政改革のあおりを受けて、ますます厳しい予算編成を強いられる中で、執行部の皆さんが大変ご苦労されて作り上げた施政方針、そして予算案だと思います。今回はとくに、町長選挙も重なる中での作業ですから、たとえ議会当日に数字の訂正や差し替えが多少はあったとっしても、それをとがめることはさし控え、素直な気持ちで、ご苦労様と申し上げます。

 ただ、町長の施政方針については、一昨年、昨年と同様、総論のない各論だけの施政方針であり、今の八丈町がかかえる重要課題を町長がどう認識しているのかが見えてこない内容であったと思います。そのことを私としては大変残念に思っていると申し上げた上で、質問に入らせていただきます。


(1)町の防災無線は災害時に充分にその機能を果たせるか。

 6番奥山幸子議員からも防災無線に関する質問がありましたが、わたしは別の角度から質問したいと思います。

 昨年は秋から暮れにかけて国内外で大災害が連続しました。そしてつい一昨日も九州の玄界灘を震源とする地震災害がまたも起こっています。
「災害は忘れた頃にやってくる」とは物理学者であり作家でもあった寺田寅彦氏の名言です。しかし、昨今の災害は「忘れるまもなくやってくる」ようです。
したがって、災害の記憶が薄れてしまうことよりも、連続する災害に感覚が麻痺してしまうことを恐れなければならない状況ではないでしょうか。

 災害が発生した時、情報を住民に正しく伝えることによって、住民の生命と財産を守ることは町の重要な使命であり、そのために、防災行政無線の果たす役割は大きいと思われます。いざという時、すべての住民に、くまなく情報が伝わるよう、防災無線システムには万全の態勢をつねに確立しておかなければなりません。

 ところで、築後半世紀になるこの町役場庁舎は老朽化がすすみ、耐震性に問題があることが判明しました。新庁舎ができるまでに安全性の高い場所に移設するなどの措置ができないかを、3月9日の本議会初日において7番奥山博文議員が質問しましたが、これに対して、総務課長は否定的な回答を述べました。そして、その時の答弁では、仮に本庁舎の防災無線設備が機能を失ったとき、それをどのように補って住民の安全を確保するのかが示されていません。そこで私から改めて伺います。

 もしこの本庁舎から防災無線が発信できない事態が起こった時には、それをバックアップするシステムが確立されなければならないと思いますが、現状はどうなっていますか。


 なお、昨年の中越地震の大災害があったため、報道機関があまり大きく扱わなくなってしまいましたが、その直前に台風23号が日本列島を縦断し、各地に大きな被害をもたらしました。この台風で兵庫県豊岡市でも大洪水が発生しましたが、ここでは、多くの家庭に防災行政無線が配備されていて、無線によって災害避難情報を伝えたのにもかかわらず、多数の人が逃げ遅れてしまったと言われています。当初出していた「避難勧告」を後で「避難指示」に格上げして、住民に避難にすることを呼び掛けたのですが、その言葉の意味の違いを住民は正しく理解できなかったのです。要するに、この時の豊岡市が行った災害避難情報では、住民に情勢の緊迫感が伝わらなかったようなのです。

 「アナウンスの声の調子がいつもと同じ。本当に危険なのか疑った」
 「避難のタイミングがはっきりしなかった」
 「聴覚障害者にはまったく避難情報が入らなかった」
 「水が溢れそうだとの情報があれば避難したのに」

など住民の声があがっています。

 私は、八丈町においても、こうした、よその自治体の失敗を是非教訓化し、避難が必要なとき、八丈町の防災無線が、住民の背中をより強く押せるよう、さしせまる危機をしっかり見極めて伝えられる態勢を築いて欲しいと願いながらお聞きします。

 災害時に住民の正しい行動を誘導するためには、災害の緊急性、重大性が、正確に、速やかに伝えられるよう、その情報伝達のタイミングや内容について、研究、研鑽し、マニュアル化されていなければならないと思いますが、町の態勢はどうなっていますか。

 また、非災害時における防災無線の目的外使用の基準はどのように定められていますか。

持丸総務課長 防災無線は、平成19年までにアナログかデジタルのどちらかを選んで更新しなければなりません。財源や新庁舎建設の絡みを踏まえ、なるべく早くに対応できるよう取組ませていただきます。防災に関する情報伝達は、災害の態様に合わせ、自動または手動で各家庭と屋外無線機に送信するシステムになってございます。気象庁や、八丈支庁、警察等各関係機関との連絡も取り対応しているところございます。
 防災無線の目的外使用はございません。条例第2条の町の防災に関する事項、行政に関する事項と定められている基準に基づいて運用しております。
 自分の身は自分で守る精神が大切です。過去の災害を忘れることないよう、住民一人ひとりの自主防災の意識を高揚してまいります。



(2)農漁業への新規就労を促進するために町の総合対策を求める。

 八丈町の人口は昨年ついに9,000人を割り込んでしまいました。この3月1日現在で8,980人になっています。人口減少によって八丈町の経済だけでなく、福祉、医療、教育など住民が生活していく環境にも深刻な影響を与えることが危惧されます。

 町はこの人口減少の問題をどう認識し、どのような対策を考えているのでしょうか。
まずその点を伺いたいと思います。

 人口減少を食い止めるための手だてに、町は真剣に取り組むべきものと考えます。町は子育て支援のための施策を昨年から開始していますが、そのほかの生活支援など、必要なことは積極的に進めて欲しいと思います。

 しかし、人口減少を食い止めるための施策として最も重要なのは、島内の産業を活性化することによって、住民の働く場を確保することです。
そして、八丈島の自然的、社会的条件に照らした場合、第2次、第3次産業への就労機会の拡大には限界があり、したがって八丈町としては、農業、漁業の第1次産業への就労を促進すべきではないかと思います。

 ところで、八丈島における農漁業は、一般的に個人事業として営まれています。そのため、経営のための設備や資材、農業をやるための圃場を手に入れるために、新規参入者にはかなりの初期投資が求められます。
さらに、農業では事業を始めてから収入を得られるようになるまでに年単位の時間がかかり、そのことが参入を難しくしていると思われます。

 したがって、農漁業への就労を促進するためには行政の支援が不可欠です。
国もこのことを認識して、新規就農を促進する様々の事業を展開していますし、東京都も農業振興プラン、水産業推進プランとして農漁業の担い手を育てる施策を進めようとしています。

 そこで八丈町も人口回復のための基本策として、国や都の事業と連動して農漁業に新規就労を促進するための事業を進めるべきものと考えます。

 新規参入時の生活支援、技術を習得する機会の提供、島内外での販売支援などの総合的な対策を、町は計画しているのかどうか、計画があるとすれば、それはどのようものかを伺います。

土屋産業観光課長 新規就労者の課題は、住居の確保、営農できる土地、技術の習得などがあり、相談を受けても斡旋までには進んでいないのが現状です。農地については、東京都農林水産振興財団を通じてできるのか協議を進めております。また、住居についても、農業者用町営住宅の建設も視野にいれ、一定期間農家で研修する制度の創設など、新たな施策作りに向け検討してまいります。


2005年4月15日 (小宮山たけし記)

 

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