ホームニュースたけしの議会レポート(1 5)


第2回定例議会(2005年6月7日) 

 

私の一般質問 

(1)「施設から在宅へ」の流れの中で、町の高齢者福祉の方向性を示せ。

 八丈町は人口減少が加速していますが、その中で高齢化率は次第に上昇し、本年4月1日現在で28.26%に達しました。高齢者福祉の施策は、この町の最大の課題になっていることは間違いありません。

 しかしながら、町の財政は厳しさが増し、特に介護保険会計も悪化の一途です。したがって、今後の八丈町の高齢者福祉をどのような方向へ進めるべきかについて、町は充分に検討することが必要です。

 そもそも介護保険の制度は、その大きな目的の一つとして高齢者福祉を「施設から在宅へ」と転換することを掲げてきました。すなわち、高齢者が住み慣れた地域で安心して自立した生活を継続できるように支援していくことをこの制度はめざしているのです。施設への入所の必要性が低い高齢者には、在宅介護支援センターと連携して、軽度生活支援事業や生活管理指導事業等、在宅生活支援サービスの提供を行い、また、要介護認定者であれば居宅サービスの調整を行うとともに、在宅介護支援センターを核とした地域の自立支援ネットワークを活用して、在宅での生活を最大限追求しなくてはならないのです。

 町長が、多くの方から「施設へ入りたい」との要望を受けていると繰り返し述べているとおり、八丈町では養護老人ホームや特別養護老人ホームへの入居希望者はますます増えてきています。しかし、これに直対応して施設を増設すべきかどうかは慎重に検討しなくてはなりません。施設希望が増え続けている原因をしっかりと分析し、それに対応した施策を講じることこそ必要ではないでしょうか。

 施設希望が増え続けているのは、経費の面で、在宅より施設の方が利用者の負担が軽い場合が多い、在宅では家族の介護負担が大きい、などのため、施設しか選択の余地が無い現実を前提にしている側面があります。つまり、現在の福祉サービスが、経費の面でも家族の負担の面でも、施設に篤く在宅に薄いサービスになっている現状があるのです。 

 これまで八丈町における在宅サービスは、養和会によるデイサービスの他は、生活援助、入浴支援などの訪問介護だけでした。それに加え、これまでも何回か指摘したとおり、在宅介護サービスのケアプラン作成を担っているケアマネも不足しています。ここにきて、民間のデイサービスも始まり、またグループホームの建設をめざす動きも出てきています。私自身は、こうした民間の動きを大いに歓迎し、現に応援してきていますが、まだ当分は社会的要請に応えきれる状況ではありません。八丈町は、こうした多様なサービスを促進し、在宅サービスの充実を図るべきではないかと思うのですが、町長はどうお考えでしょうか。

 ところで私は養和会の評議員を務めていますが、今、養和会は、老朽化した養護老人ホームの建替えを検討しています。この施設は単に古くて危険なだけではなく、構造的に個人のプライバシーを守れる空間が確保しにくいことが大きな問題です。いずれにしろ、養護老人ホームをこのまま放置することはできない状況にあります。

 しかしながら、今、養護老人ホームは全国的に減少していく傾向にあります。平成16年3月31日現在、都内の養護老人ホームの施設数は33施設(定員は4,242人)で、島嶼部では八丈島にしかありません。国も、都も、養護老人ホームではなく、高齢者住宅などの生活支援策によって、施設収容型でなく、住みなれた地域での「在宅サービス」を進める方向にあるのです。このような状況を見ると、八丈養護老人ホームを建て替えについては、町が今後、高齢者福祉をどのように進めるかという判断を示し、それに基づいて判断すべきだろうと考えています。

 そのことも含めて、八丈町として、高齢者福祉をどのような方向へ導くのか、「施設」と「在宅」のそれぞれのサービスをどのように支援し、そのことで介護保険財政がどうなるかのシミュレーションも行って検討して行くことを求めて、次の点を伺います。

介護保険は在宅介護の充実をめざして制度化されました。しかし八丈町では施設への入所待機者が解消しません。その背景には、個人負担の割高感も含めた町の在宅サービスの不十分さがあります。一方で養護老人ホームの老朽化が進み、建て替えも検討されています。施設を建設するのか、それとも在宅サービスを充実するのか。介護保険制度の収支の悪化も危惧されますが、介護保険の財政的観点も含めて町はどう判断していますか。

 

(2)八丈町情報化計画をどのように実現するか

 八丈町住民の強い要望の中、島ぐるみの運動が結実して、昨年春からブロードバンドの環境がこの町にも整いました。総務省は日本を世界一の情報先進国にするとしてe−Japan戦略を掲げ、ブロードバンドを推進した結果、2004年度には7000万世帯がブロードバンドを享受できる体制となり、すでに1700万件の加入があったと発表しています。しかし、先日訪れた屋久島でも、未だにブロードバンドの計画もないようでした。全国の離島で、八丈島はかなり恵まれた状況にあるものと言えるでしょう。この八丈島で、光、ADSLともに加入者が一気に拡がり、ネット環境を多くの八丈町住民が活用している現状を見るとき、この運動の一端を担った者として喜びに堪えないところです。

 ところでe−Japan戦略を達成したとする総務省は、昨年、その次の課題としてe−Japanをもとにした「u−Japan構想」をかかげました。「u」というのはは「ユビキタス」を指しています。ユビキタスとは、「至る所にある」という意味で、「いつでもどこでもネットワーク端末を意識せずに活用できる環境」を表すそうです。要するに、暮らしの中のすべての場面で、IT環境を有効に利用し、役立てていくこと、すなわちソフト面を充実させ、住民のくらしや行政サービスに活かしていく事が「u−Japan構想」だというわけです。

 そしてこの政策実施の基本的な考え方として、総務省は@民産学が主役で官は環境整備行うA民産学官の多様な主体が政策実施に参画し、オープンなガバナンス、つまり開かれた統治を形成するB階層毎に適切な役割分担を考慮、と述べています。

 また、昨年この町にもIT推進のための専門部署が設けられ、今年3月「八丈町情報化計画」が示されました。こうして、町が「IT化を進め、仕事の効率化、より一層の住民サービスの向上に努める」との方針を掲げて、民間でIT利用に先進的に取り組む方々との連携も計りながら、島の発展に寄与していこうとする姿勢は大いに評価すべきものと思います。また「計画」の中身は、国の「u−Japan構想」とも基本的に一致していると思われます。

 しかしながら、ただ1点、情報の双方向性についての視点が明確でないのは気になります。

 先に述べたとおり、総務省は、民間が主役となって官は環境整備に徹する、民間と行政の多様な主体が政策実施に参画して、開かれた行政を作っていくと述べています。すなわち、インターネットが一方通行でなく、双方向性を持っている特質を活かした、住民の主体的参加の実現が重要だといっているのです。

 ちなみに、国はこれまでの「IT戦略」の呼称を「ICT戦略」と改めました。新たに加わった「C」とは「コミュニケーション」を現しています。増大するコミュニケーションの重要性を考慮して「『ICT(Information Communication Technology)』と変更した」というのです。

 こうした観点から、八丈町の「IT戦略」には、情報の双方向性を活かし、住民に伝えるだけでなく、住民からの情報提供を受けて、これを活用していくという、住民に開かれた、住民が主役の情報化の実現が重要だと確信します。そのことを指摘した上で、今後とも、ブロードバンドの積極的利用によって大都市との情報格差を解消し、情報通信技術を最大限に活用した行政を実現することを、町づくりの基幹的戦略として取り組んでいくことを期待しながら次の点について伺います。

町が提示した「八丈町情報化計画」を是非成功させて欲しいと期待します。ところで示された計画には予算規模が含まれていないようですが、それぞれの施策にどれほどの経費を見込み、財源をどこに求め、どのような手順で実現するのでしょうか。

また、町も関与する「島おこし協議会」によってインターネットの八丈島の総合窓口となるポータルサイトが作られましたが、このポータルサイトを育て、島の発展に活かしていくことは重要だと思います。この取り組みのように住民と連携を強めるためには、特にインターネットの特性である双方向性の機能を活かすべきだと思いますが、そのための具体策はありますか。

 

 

u・biq・ui・tous /ju?bikw???s/
【形】1 (同時に)至る所にある,遍在する.2 〈人が〉至る所に姿を現わす.

 

2005年6月7日 (小宮山たけし記)

 

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