ホームニュースたけしの議会レポート(1 6−2)


航空運賃値下げの理不尽な付帯条件

 9月7日から29日まで開かれた第3回定例会の第1日目に5名の議員が一般質問を行いました。私は2番目に質問し、 航空運賃の値下げに付帯した条件の問題に関する町の認識を質し、さらに町の中にある遊休地の有効利用を求めました。以下はその質問全文です。

 

一般質問(2005年9月7日)

(1)理不尽な航空運賃値下げの付帯条件に対し、町の毅然とした対応を求める。

 八丈島のライフラインである東京−八丈間の空路の運賃が、来る10月1日から引き下げられることになりました。島民の生活にとっても、また観光を初めとする島の産業の発展にとっても、この値下げ自体は大きな影響をもたらすことでしょう。この全日空の値下げ決定はまさに画期的であり、大変喜ばしく受け止めています。そして、これまで交渉に当たってきた浅沼町長の努力の大きな成果として、心より敬意を表します。

 けれどもこの値下げは、残念ながらまったくの無条件というものではありませんでした。

 その条件の主なものの第1は、4便のうち1便を大島経由とすることです。そして、その2番目は、この値下げを半年間試行した上で、その期間に10%の旅客増が実現できなければ、それ以降の運賃を元に戻すというものであります。

 もとより、旅客増は八丈島民の悲願であります。この運賃値下げを機会として、島を挙げて旅客増に取り組むことに異論のある人はいないと思います。例え、それが値下げの条件ではなかったとしても、この機会に是非ともあらゆる手を尽くして、旅客増には取り組むべきです。ましてやこれが値下げ継続の条件であるなら、島の命運をかけてこれを達成できるように努力しなければなりません。

 私自身も、そのために様々の方策をとるつもりです。そしてまた、町に対しても、そのためのいくつかの提案を持っています。しかし、ここでは論点があいまいになるので、そのことへの言及は控え、後の機会に述べさせていただきます。

 ところで、どうやって旅客を増やすかの論議はさておき、示された条件を冷静に判断するとき、これは八丈島にとって極めて厳しいものといわなければなりません。そして「町長の熱意に応えた」という全日空の説明とは裏腹に、全日空にとってあまりにも虫のいい条件が押しつけられたと断ぜざるを得ないのであります。

 そもそも、1便を大島経由とすることによって、東京−八丈路線の利便性は大きく失われることとなりました。これは、八丈島が保有していた1日4便の東京−八丈路線が実質的に1便削減されたのと同様の変更であります。それによって全日空は、東京−大島の赤字を大幅に削減できるだけはなく、羽田の発着枠を黒字路線に振り向けることが可能となったのです。それだけでも、全日空の利益増は今回の東京−八丈路線の運賃値下げによる減収をも上回るのではないかとも思われます。そうであるならば、そのために、一方的に利便性を奪われた東京−八丈の運賃値下げは当然と言えるのではないでしょうか。

 また、10%、1万人の旅客増といわれていますが、この数字にもまやかしがあります。

 空路の旅客枠には普通運賃で購入せず、旅行会社に認められている安売り分があるはずです。そしてこれを利用している旅客の占める比率は、公表されてはいませんが決して小さくはないと思われます。そしてこの安売り枠の利用客にとっては、今回の値下げによる恩典はありません。だからこの安売りの利用客が増える契機にはなりません。したがって、この値下げが影響するのは、この旅行会社を通じた安売り分の利用客を除いた部分に過ぎないと考えなくてはならないのです。すなわち、今回の旅客増は、基本的には普通運賃を利用する一般客だけで実現しなくてはならないということになるのです。

 今回増やさなければならない1万人という数字は、その枠だけで考えれば10%を大きく越えることになります。安売り枠の実態が公表されていないので正確なことは言えませんが、もしかしたら実質20%から30%の数字になるのかも知れないと思っています。

 しかも、大島便の新設によって実質3便体制になり、さらにそのうちの1便も小型化するのであれば、輸送力は大きく落ち込みます。小さくなった輸送力で旅客数を10%あげるためには、搭乗率はそれを倍する高さに上げなければなりません。

 したがって、この条件をクリアするのは決して容易なことではないと感じます。全日空はこの難題をおしつけることによって、値下げを一時的なものとし、早く元の高額な運賃に戻すことを狙っているとさえ考えられてくるほどです。

 そこで、こうした理不尽な条件を示す全日空に対する町の対応について、つぎの点をお伺いします。

@町長は、今回の値下げに付帯する条件についてどう評価していますか。

A八丈町と全日空の間には、この条件の詳細について、その後どのような 確認がなされたのでしょうか。

B今後、全日空とはどのような交渉を進めていく方針ですか。

 

(2)都の所有する空き施設や遊休地を払い下げ、島の発展に有効利用せよ

 八丈町の人口はこの8月1日で8837人だったそうです。人口減少に歯止めがかからない状況が大変憂慮されています。町にとって、旅客1万人増とともに、何としてもこの人口減少を食い止める手だてを尽くさなければなりません。

 ところで、この人口減少によって、町のいたるところに空き家が目立つようになってきました。それは民家だけではありません。この間、島から撤退していった事業所の施設なども数多くあります。

 主(あるじ)を失ったこれらの構築物は、まだまだ充分に使用に耐える状態であるのに、いたずらに老朽化していくまま放置されているのをみると、財政難の今日、本当にもったいないと思わずにはいられません。

 また、一方ではすでに廃屋と化し、台風が来れば、破損した瓦礫が周辺に飛散して、重大な危害をもたらしかねない危険な建物もあります。町は、災害対策としても、その実態を把握し、所有者に改善をもとめるとともに、可能であれば有効利用に努めるべきではないでしょうか。

 使われないまま放置されているのは建物だけではありません。空き地や田畑、山林などにも荒れるに任された遊休地があちこちに見受けられます。 これらの遊休地の問題は、利用されてないことが単にもったいないというだけではありません。町の主要な場所をそれらの土地が占拠し、島の住民が、その場所を避けて生活し、生産活動を行わなければならないとすれば、これは島の発展の阻害要因でしかないのです。

 ところで、それらの遊休地の中には、東京都が所有しているものもあります。三根にはかつて蚕業試験場の桑畑だった土地もありますし、また大賀郷には農業試験地の広大な跡地があります。これらは一部は公園などに使われていますが、ほとんどが放置され、荒れ果てています。

 5月に行われた八丈支庁の事業説明会で、私はその遊休地の有効利用に関して質問したのですが、それに対して、農業試験地の跡地は町に払い下げる計画があるとの回答でした。しかし、実際には条件面で折り合いがつかないのか、話がなかなか進まないのが現状のようです。この旧農業試験地の跡地は、その土壌が肥沃で、農地としても優れているだけでなく、大賀郷の市街地からも近接していて、さまざまの利用が可能なすばらしい土地です。放置されたままの現状はあまりにももったいないと思います。

 町は、東京都の保有するこれらの施設や土地についても、都と折衝し、これらを最大限有効利用するための施策積極的に推し進めて欲しいと思います。

 そこで、この件に関する町の姿勢について次の点をお訊ねします。

@都の所有する空き施設、遊休地の有効利用に関する都への要望活動はど のような現状ですか。

A旧農業試験地の広大な跡地は、その肥沃な土壌から農業の発展に寄与で きるだけでなく、さまざまな有効利用が期待できます。都に対し、この 土地の利用を、強く求めるべきだと思いますが、町はどう考えますか。

 

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