空路問題に議論集中
2005年12月定例議会
第4回定例議会は、12月12日、13日、14日の3日間開催されました。7人の議員が一般質問を行った後、17年度一般会計、特別会計、企業会計の補正、ならびに16年度一般会計、特別会計の決算認定を行い、さらに、樫小、中小の統合に伴う三原中グランドの造成工事などの契約案件も含めて審議しました。
議論が集中したのはやはり航空運賃値下げ関連の問題でした。1万人の旅客増をどう実現するかとともに、大島経由便の新設で悪化した利便性の問題が大きく取り上げられました。この問題では、定例会に先立ち11月15日に臨時議会を開き、全日空に対する5項目の要求を掲げた「輝かしい歴史ある航空路線を守り発展させるための決議」を全会一致で採択しました。そして、この決議を携え12名の議員が11月21日に新橋の全日空本社に出向き、直接交渉を行いました。
その他で議論が白熱したのは、町営バスの燃料に関する問題です。それは、町営バスの燃料の軽油がリッター151円(税込み)での契約する見込みが示されたからです。ガソリンよりも高いこの値段には多くの議員が納得せず、審議の結果、契約は当面見合わせることになりました。
私の一般質問
第1日目に 7名の議員が一般質問を行いましたが、私はその1番目に質問し、航空運賃値下げにともなって失われた利便性の問題、ビジネス客増加のためのSOHOの誘致、そして、高齢者介護と医療の問題を取り上げました。以下はその 質問と回答の要約です。
また、一般質問全記録は → こちら
(1)航空運賃の値下げを維持するとともに、路線改定で生じた弊害を克服するための町の今後の施策は何か。SOHO誘致でビジネス客を増やせ
小宮山
来島客のほとんどが観光目的である八丈路線は利用が週末に集中し、ウイークデーはほとんど客がない。これを改善するためビジネス客を増やすことにも努力すべきだ。八丈島は、全国の離島に先駆けてブロードバンドの環境が整った。豊かな自然を楽しめ、しかも、東京と数時間で行き来できるこの島は、仕事の場としても最高の環境にある。IT環境が整い事業が可能となったSOHO(スモールオフィス、ホームオフィス)を、島内に増えてきた空き施設を利用して誘致する考えはないか。地域情報計画をつくりSOHOを誘致した三鷹市はITの発展に対応した行政の仕組みをつくっており、参考にすべき事例だ。
申請中の企業研修誘致に組み入れたい
小川一総務課主幹
本年4月に八丈島総合ポータルサイトを立ち上げた。このサイトは、官民共同で構築し、島内外に発信して八丈島の地名度を上げ、観光客の増加を目指し、また特産品を紹介して、販売経路の拡大や経済の活性化をねらっている。今後は、就労希望者への情報提供を密にし、廃校となった学校等を利用した小規模企業の企業誘致にも、場所の選定等を行いながらPRしていければと思っている。
沖山慶孝助役
SOHOは考えていなかったが、今ある施設を利用した企業研修の誘致について調査したいと8月に国に申請している。これが採択できれば、その研修施設として八丈島が可能かどうか調査できる。そこから企業との接点が生まれてくると、オフィス誘致にも発展していく可能性は十分あろうかと思う。ご提言と受け止め、そのことも調査の中に含めながら、今後検討していきたい。
全日空との交渉をどう進めるのか
小宮山
大島経由便の新設によって、提供座席数の大幅減、当日の搭乗機変更の不自由さ、直行便の2倍を超える経由便の高額運賃、貨物輸送への制限など、失われた利便性が日を追うごとに明らかになってきた。特に経由便がほとんど利用されない現状では、いずれ廃止され減便となる恐れがある。議会はそれを防ぐために経由便を直行便より安くすることなど、全日空に5項目を要求したが、町は今後どのように交渉を進めていくか。
経由便値下げ等も要望を続ける
山下奉也企画財政課長
大島経由便の新設で利用者の利便性が失われた部分は少なくない。町としても、再三にわたり、全日空に対し改善を求めている。議会決議もなされ、全日空に要望が行われたが、その中の、大島経由便を往復とも2便目とすることについては、来島者は2便目が一番多いという状況もあるので、再検討する必要があると考えている。生鮮食料品等の輸送の問題については、海上輸送での改善を考えている。
経由便の料金を直行便以下にすることと、直行便と経由便を自由に振り替えられるようにすることは、全日空は難しいといっているが引き続き要望していきたい。年末年始の臨時便の増発も根気強く要望していく。大島、八丈島便の旅客数のプラス1万人へのカウントは話を進めており、100%解決される見込みだ。
(2)高齢者福祉には医療の充実も欠かせない。高齢者が安心して暮らせる医療態勢を実現せよ。
高齢者介護は医療と一体で進めよ
小宮山
町には、高齢者への医療と介護を一体的に担う体制を確立していく課題がある。もともと介護保険制度は高齢者への医療サービスと福祉サービスの集合体として誕生した経緯を持っている。その観点から八丈町の現状を見るとき、介護と医療の間の隔たりは余りにも大きい。老人ホームでの医療にも問題があり、在宅高齢者に対する往診や訪問看護も不十分だ。町立病院に療養病床を設置する計画も今なお実現できず、この町の中には長期的に医療を必要とする高齢者の行き場がない。
在宅で医療を必要とする高齢者に対して、町立病院の医師、看護師による回診、看護の現状はどうなっているか。老人保健施設等の医療のできる介護施設を設置する考えはないか。さらに、看護師不足を理由として先延ばしになっている町立病院の療養病床は、いつ実現できるのか。
当面は制度移行に沿った介護予防に重点
關村三男病院事務長
在宅医療は、医師、看護師が担当し合計7軒を訪問している。在宅看護は婦長が担当して4軒を訪問している。
看護師不足を理由として先延ばしになっている町立病院の療養病棟は、看護師または看護助手等の配置が少なくて済む介護病床の6床体制の開設のために、国と申請の手続を進めている。スタッフの雇用や看護師配置の準備、病棟の整備等についても整備期間が必要であり、病院の開設の許可変更、または介護関係の申請にも3カ月かかる見込みだ。体制が整えば療養病床の開設を進めていきたい。
佐々木英俊健康課長
医療のできる介護老人保健施設は、入院治療の必要ないが自宅で療養が困難な方を対象に、介護や看護を提供する施設である。この施設に限らず、介護施設にはいろいろな意見や要望があるが、来年4月から新予防給付や地域支援事業が創設されるなど、制度が大きく展開されるので、当面この介護予防事業を重点として取り組み、施設整備に関しては新たな制度の動向を探りながら協議していきたい。