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たけしの議会レポート(2)

 

問題山積ですよ!(島内視察の報告)

11月17日(月)に、八丈町議会は「全員協議会」(注)の活動として、丸1日かけて島内を視察して回りました。

この島内視察には、16名の議員のうち11名が参加しました。

見て回ったところは下のリストに掲げてあります。主に町が主体となって進めている事業の現場を見てきました。それぞれの事業現場には、町の担当課長など、行政の側の責任者に出向いてもらって説明を受けました。これらの事業の現況をじかに見て、たくさんの問題点や課題について、改めて認識を深めることができたと思います。

その中で、特に印象に残ったところ、問題を感じたところについて報告します。

◆中之郷小学校の建て替えと学校統合問題

まず、中之郷小学校ですが、昭和30年代に建てられた、コンクリートブロックづくりの校舎は雨漏りするなど老朽化が進み、その建て替えが緊急課題になっています。しかし一方で、現在その全児童数は40名に満たず、来年度は複式学級になる学年もあるとのことです。隣の樫立小学校もまた、児童数が中之郷小よりさらに少ないので、中之郷小と樫立小との統合を検討せざるを得ない状況にあるのです。

したがって建て替えにあたっては、学校統合の話がどうなるかを見極めながら進めざるを得ません。しかし、今年行われた末吉中の三原中への統合も、話が持ち上がってから12年もかかったという事で、地域住民の合意を得て進めなければならないこの学校統合という大事業には、かなりの時間がかかる事を覚悟しなければなりません。

いずれにしろ、早急に樫立と中之郷の両地区住民の話し合いの場を作って、すみやかに結論を出せるようにしなくてはならないと感じました。

 



◆トビウオが売れなくなる理由

町の給食センターが役場近くの東京電力発電所の裏手にあります。ここで島内の全ての小、中学校の生徒児童に学校給食を調理して供給しています。

ここで調理される食材には、島内で生産されるものも積極的に利用しているとの説明が担当職員からありました。しかし、そのうち利用できるのはアシタバや里芋など野菜類だけで、魚介類は使わないと言っています。つまり島の魚はダメなのだそうです。

なぜダメなのか? それは、魚を子供たちに食べさせるためには、完全に骨を抜かなければならないからだそうです。つまり、子どもたちが喉に骨を刺したらいけないので、完全に骨を抜き去った魚しか出せず、すでに加工済みの島外産のものしか使えない、というわけです。

この話を聞いた議員諸氏は呆然としました。これじゃ、魚が好きな子供は育つはずがありません。こんな給食では、子どもたちは骨を口の中で器用により分けて食べられるようにはなれません。こんな給食が日本全国で共通しているなら、そのうち日本は骨付き魚は食べられないダメな新人類ばかりになってしまうでしょう。そしてスーパーには骨なし切り身魚しか並ばなくなるのでしょう。

こうして、八丈でトビウオ漁が復活しても、もはや昔のようにそれを大量に消費できるマーケットは日本から消滅してしまうんですね。

 

 

◆永郷富士山線の眺望はすばらしかったが…

永郷のアロエ畑のすぐ脇から富士山の頂上に向かう道路の建設が進んでいます。アロエ畑脇の入り口から八丈富士7合目にある鉢巻き道路を結ぶこの道路は、総延長がほぼ5000メートルになり、まだ5分の1くらいしかできていませんが、これが完成すれば、小島を一望出来るすばらしい眺めが、きっと観光客の人気を集めることになるでしょう。

建設課長の説明では、総額約20億円をかけて建設されるこの道路に対して都の補助はなく、国が55%、町が45%を負担するそうです。幸子議員が事業目的を訊ねたところ、ふれあい牧場など八丈富士山腹にある施設につながる道路が、これまでは三根富士見地区からの道路しかなく、災害時に寸断される危険を想定すれば、複数の経路を確保する必要があるためだと答えていました。

もしそれが本当なら、むしろ末吉の洞輪沢地区こそ人家の存在する集落として、複数のアクセス道路を早急に整備すべきなのではないでしょうか。
財政危機の時代だからこそ、大切な予算をかける場所は慎重に選ぶべきだと思うのです。


今回視察したところ

1、中之郷地熱団地温室展示館

この展示温室はまだ公開してない。公開されても、面積は狭く、展示物も少なくてイマイチだ。

2、中之郷ゴミ処分場

未だに野焼きが続く中之郷処分場。

伐採樹木をチップ化してこの写真のように堆肥にできる機械はすでに導入されているのに…。

処分場の向こうの山地が最終処分場の候補地。そこに降った雨は現在の処分場と同じ沢に流れる。

 

3、中之郷小学校
4、三原中学校前町有地(中之郷小、樫立小の統合を想定して用意された土地)
5、樫立空港拡張土取場・ふれあい温泉

ふれあい温泉奥の土取場。ここの土は水分が多いため空港埋め立てには苦労している。

6、給食センター
7、永郷富士山線道路改良工事
8、有明金属ゴミ処理施設

有明金属ゴミ処理施設。テレビや冷蔵庫の引き取りは有料になっている。
しかし今、島のあちこちの山中などで不法投棄が増えているとの情報もある。

9、山羊牧場
10、クリーンセンター
11、空港拡張工事現場

三根側はだいぶ高くまで埋め立てが進んでいる。これ以上になると
工事が航空機の離発着に差し支えるので、夜間の工事になるそうだ。

工事状況を開設する港湾局の職員。

大賀郷側はまだ相当低い。こちらはもともと高低差が大きかったところだ。

 

港湾局の説明を聞く議員諸氏。

12、消防本部
13、保健福祉センター
14、共同福祉作業所
15、町立病院

潜水病の治療に使われる減圧装置。


出席議員
菊池孜行、小澤一美、沖山道、長戸路義郎、奥山幸子、奥山博文、小宮山建、伊勢崎和鶴右衛、土屋博、沖山芳清、沖山宗春(11名)

欠席議員
山下淨文、山口英治、田村六郎、菊池陽之助、山下松邦(5名)

(思い出した順です)


(注)全員協議会とは

正式の本会議は、発言の手順や内容が法律でかなり縛られてしまうので、それとは別に、議員同士や執行部との意見調整を行うなどの目的でこの全員協議会が開かれます。本会議の間にも、必要に応じてその場を全員協議会に切り替えたり、閉会中にも特別にこの会議を開催することがあります。あくまでも意見調整などの場であり正式の議会ではないので、ここで何らかの議決をすることはありません。

ただ、基本的に非公開で開かれる会議なので、ここでの話し合いに比重がかかりすぎると、開かれた議会にはならなくなってしまいます。だからそうならないように注意したいと私は思っています。

なお、この全員協議会は正式の会議ではないので、費用弁償はありません。



道路族=抵抗勢力の 

片棒を担いでしまった!

11月7日(木)に日比谷公会堂で開催された「第13回東京都道路整備事業推進大会」に出席してきました。

この大会は、道路関係の予算を獲得するための運動として、都内の区市町村がすべて参加する形で、平成2年からこれまで毎年開かれてきているようです。
実行委員になっている20近くの主催自治体の代表と、来賓として出席した国会議員、都議会議員が壇上に上がり、一般席の方は私たち区市町村の議員や職員が埋め尽くしての大集会です。

要するに、道路建設の予算確保を国や都に要求していくための決起集会というわけです。

毎年、一般席の聴衆として議員が動員されているらしく、今回は八丈町には3名の出席義務があるということでした。時間の都合がつくなら新人議員も行って見た方がいいと他の議員たちに勧められ、私は勉強のつもりで参加したのです。八丈からは他に小澤、宗春の2議員が参加しました。

大会の趣旨として道路建設の重要性が強調され、大会ではそのための宣言、決議を採択しました。もちろん、その趣旨は大筋で間違ってないし、意義もある大会だった思います。しかし何となく釈然としない部分が残りました。なんだか小泉改革に対する「抵抗勢力」のデモンストレーションの片棒を、私も担いでしまった格好です。
そのことはともかくとして、自治体が、そこを構成する住民の判断を得る手続きなしに、税金をつかってこのような運動を進めることについて変だなー、と思ってしまいます。

八丈町はこの大会の実行委員になっていて、建設課の職員がスタッフとして動員されているほか、町長(この日は助役が代理)が閉会の辞を担当していました。

午後1時から、2時半までの1時間半の大会のために、町は議員3名と職員数名を派遣し、そのために旅費や日当(宿泊する場合はその費用も)を負担します。ちなみに私は日帰りだったのですが、交通費(往復航空券、電車代)と日当で約3万円弱の支給を受けました。

それにしても、私はこの大会にただの聴衆として参加しただけなので、ほとんど生産性を感じられず、税金の無駄遣いに私自身が加担したような後ろめたさが残った思いです。

でも、その一方で日本の政治がどんな形で進められているのかを学習するのには大変役に立ったような気はしています。


  あるベテラン議員の嘆き

       − 私が経済企業委員会を選んだ理由 −
 
「これまで何期も議員をやってきたのに、経済企業委員会と総合開発審議会の委員に一度もなった事がない。そして今期もまたダメだった!」と、あるベテラン議員はがっかりしたようにつぶやいています。

その議員によると、この二つの委員会は議員の中での人気が高く、昔は経験を積んだ議員でなければやらせてもらえなかったとか。新人議員が希望しても「生意気だ!」と一喝され、引き下がるしかなかったそうです。

しかし今、議会の雰囲気は一変しています。他の議員を威圧したり、どなったりする議員はいないし新人も決して遠慮しようとしません。(少しは遠慮しろって?)

そんな中で、所属委員会を決める話し合いで、その人気の高い両委員会に、私は「ハイ、ハイ」と元気よく手を挙げ、結果として、かのベテラン議員をはじき出してしまったのです。ゴメンナサイ。

私は当初、経済企業委員会よりも総務文教委員会を選ぶだろうと多くの人に思われていたようです。確かに、議員になる前から、やってきた事は福祉や環境に関することが多かったんです。さらに家業だって教育関係だし、誰が見ても得意分野は総務文教委員会に関することの方が圧倒的に多いんです。そして私自身そっちの方が動きやすいと思っているし、今後もこの分野で力を発揮しなくては、とも思っています。

しかし、だからこそあえて私は経済企業委員会を選んだのです。

これからの八丈島に、環境や福祉は重要な課題になっていることは間違いありません。けれども、そのためにも今、八丈町の産業の再生が最重要の課題になっていることを私は強く感じています。八丈町が経済的に弱さをかかえたままでは、福祉や環境の改善も不可能だと思うからです。

そしてまた、新しい時代の産業の発展を切り開くことも、環境や福祉、さらに教育に関する視点をもっていなければ難しいはずだと、私は確信しています。

それにしても経済企業委員会はなぜ議員の中で人気が高いのでしょう?
道路や港湾などの公共事業がらみの利権にありつける分野として、やましい魂胆から委員になりたがる議員がいたのでしょうか。
しかし、これからはそんな事は通用する時代ではないし、通用させてはならないと思います。むしろ、そうした公共事業の進め方を根本から変えていくためにも、この委員会に私の役割があるはずだとも思っています。

また、総合開発審議会は、私がこれまで一住民の立場でこの委員会に関わり、そして会長職務代理者としての責任ある立場で町の基本構想、基本計画の策定に関わってきました。
今回は議員になっても、そこで策定した構想、計画の具体化に責任を果たしたいとの思いで、委員への就任を希望したわけなのです。

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