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たけしの議会レポート(4)

選挙後初の定例議会で激論

 

◆満員の傍聴席、緊張の初質問

町議選後初めての第4回定例議会が、12月10日から12日まで3日間、役場大会議室で開かれました。10日の傍聴席は約30名の住民でぎっちりと埋められ、議会に対して住民の注目度が高まっていることを感じました。

この日は私を含む7人が一般質問にたち、それぞれの立場から執行部の政治姿勢を問いながら、町政に関する提案や要望を述べました。

10日に一般質問にたった7人の議員のうち、4人までで午前中の議事を終了し、
5番目に登板した私は、午後1時から約40分をかけて質問しました。
私は選挙公約でもあった「ブロードバンドの整備」を最初に取り上げ、その重要性についての町長の認識を質しながら、町の今後の積極的な取り組みを求めました。
また、町の緊急の懸案になっている管理型最終処分場の建設について、住民の安全と環境保護を最重点におくことを要求し、併せてデポジットなどの先進的環境対策を推し進める事によるゴミの減量化策の推進を求めました。
さらに、私は障害者福祉の充実についてもふれ、フェニックス作業所の農作業場の早期建設と、八丈高校に養護学校を併設する問題について、町の努力を求めました。
その後の予算決算審議の中でも、選挙公報の発行についてや、今後の航空路線対策、住基ネットと個人情報法保護の問題、などに関する町の取り組みを訊ねました。

この日を含む3日間の議事の中では、地方分権や町村合併に関する町の姿勢、航空運賃の問題、そして町税や水道料など滞納対策などが大きく取り上げられましたが、最も大きな問題になったのは管理型最終処分場の問題です。これについては別項でその論点を整理しておきますので、参照して下さい。

本議会ではそのほかに14年度予算の補正、および13年度決算に関する審議が行われ、また、それらの議案がすべて終了した12日の午後4時過ぎには、本議会に提出されていたブロードバンドの整備を求める請願八丈高校に養護学校の併設を求める請願を私が説明し、それぞれ全会一致で採択されました。


ところで、本議会への議員の出席は3日間とも14人。
欠席したのは今回も山下淨文、菊池陽之助の両議員。二人とも病欠だそうです。

なお、予算、決算に関する質疑には松邦議員以外のすべての議員が質問に立ちました。質問回数では山口英治議員がトップ。沖山芳清、沖山宗春、奥山博文の各議員もかなり多くて、そのため本議会が丸3日間に及びました。
私は、一般質問こそ40分もかけ、また2つ出ていた請願について、両方とも説明議員としての役割を独り占めしてしまいましたが、その他の質疑では新人の分をわきまえ、5回しか質問しませんでした。(えっ? まだ多すぎる?)



◆一般質問にたった議員とそのテーマ

一般質問にたった議員とそのテーマは次の通り。

伊勢崎和鶴右衛
 1.小島のヤギについて
 2.樫立乙千代ヶ浜のトイレについて
 3.高齢化対策について
 4.スケートボード場について

沖山芳清
 1.地方分権への対応について
 2.管理型最終処分場について
 3.航空運賃の改善への取り組みについて
 4.樫立・中之郷小学校の統合について

沖山 道
 1.東電地熱発電所から出る悪臭の問題
 2.汐間サーフィン場の砂浜入り口の整備を
 3.洞輪沢温泉にサーファー、ダイバー用女子シャワーの施設を
 4.最終処分場の建設地、構造に関する町の姿勢を示せ

山下松邦
 1.高速大容量通信回線(ブロードバンド)について
 2.若草保育園前町道の安全対策について

小宮山建
 1.高速大容量通信回線(ブロードバンド)の整備について
 2.管理型最終処分場とゴミの排出抑制、およびデポジットについて
 3.障害者(児)の生活の安定と教育環境の整備について

奥山幸子
 1.ペット問題の対策について
 2.ゴミ減量と分別収集について
 3.町村合併について

菊池孜行
 1.高齢者のみなさんに十分な配慮を
 2.航空運賃値下げに努力しましょう
 3.最終処分場の建設を早期に実現しよう

(質問順)



◆私の一般質問内容

(1)高速大容量通信回線(ブロードバンド)の整備について
 1.政府が進めるIT基本戦略(e-Japan 戦略)に踏まえ、高速大容量通信回線(ブロードバンド)の整備を八丈町に早期に実現することの重要性を、町長はどのように認識し、今後どのように取り組むか。
 2.その取り組みに必要な経費はいくらか。
 3.その財源はどこに求めるのか。
 4.秋田県矢島町が実施している「地域情報交流基盤整備モデル事業」の内容を町は把握しているか。八丈町でのブロードバンドにとって参考になる点は何か。
 5.島嶼のブロードバンド整備のために、町は他島の町村と連携して国や都に働き掛ける用意があるか。

(2)管理型最終処分場の建設、およびゴミの排出抑制とデポジットについて

 1.管理型最終処分場につきどのような施設をどこに建設するのかは、町民の合意を得ながら進めなければならないが、町長はどう考えているか。
 2.管理型最終処分場の建設は、その使用期限を延ばすためにもゴミの排出を最小限に抑制する必要があると思うが、町はそのためにどのような施策を進めるのか。平成18年度以降の計画にあるリサイクルセンターとはどのような施設か。
 3.ゴミの排出抑制のために町が進めてきたデポジット制度は内外からの高い評価を受けている。しかし一方で、商店に課されている過重な負担を解消することも大きな課題になっているが、そのための施策を今後どう進めるのか。
 4.処分場建設について、住民の意思に沿った結論を出していくために、本議会において、今後集中的な審議をすすめる必要性があると思うが、その点について町長はどのような見解を持っているか。
 5.建設用地、施設の構造を考える上で、最も安全でしかも経費が少なくて済むものを作るにはゴミの分別と排出抑制の視点が不可欠だと思うが、そのための施策、さらにそれを前提にした処分場建設を進める考えはないか。

(3)障害者(児)の生活の安定と教育環境の整備について
 1.障害を持つ者の生活、および社会参加の拠点として共同福祉作業所の完成は意義が大きい。しかし、これらの方が保護者亡き後もこの島で安心して暮らしていける体制にはほど遠い現状があり、これを改善していく事は町の重大な責任と思うが、町長はその点をどのように認識しているか。
 2.共同福祉作業所への入所によりフェニックス作業所への家賃補助がなくなったことは同作業所の運営に大きな負担となっている。保健福祉センター脇に町が建設しようとしている作業所を関係者は待ち望んでいるが、その完成時期はいつか。
 3.八丈島において障害を持つ子供たちへの後期中等教育を保障するために、八丈高校に同校付属の養護学校を併設する取り組みが始まっている。町はこれを支援し、都や国に対してその実現を求めていく考えはあるか。
 4.共同福祉作業所の完成によって、元のちょんこめ作業所の建物は今後グループホ−ムへの転用が可能だと思うが、町はどう考えているか。
 5.フェニックス作業所は、多くの方々の支援に支えられているとはいえ、新しい厨房施設などに関する出費もあり、今年度はとくに厳しい財政状況にある。そのため一刻も早く作業所を完成させるよう町の努力を求める。



◆管理型最終処分場問題の論点

 早急に建設が求められている管理型最終処分場について、一部事務組合が示してきた計画に本定例議会で異論が噴き出し、集中的に論議されました。

 まずその建設用地について、21の候補地の中から絞り込まれたとする中之郷の土地の適否が問題になりました。その土地の地権者は八丈町への負債を払えず不納欠損処理を受けており、取引に不明朗さが指摘されたのです。これを受けて、町長はこの土地を選定対象からはずす意向を示したので、用地は変更される可能性が高まりました。

 そこで、今問題になっているのは施設の構造の問題。これまでの計画どおり「オープン型」にするのか、それとも新たに浮上した「クローズド型」にするのかという事です。

 一部事務組合は、これまで全国で数多く建設されてきたオープン型での計画を進めてきました。しかし、環境問題に対する関心の高まりの中で、ヨーロッパですでに一般化しているクローズド型での建設が日本でも注目されるようなり、実際にこの形式での建設事例も増え始めています。けれども一部事務組合は、オープン型でも18億円かかるこの施設に屋根をかけるには、さらに10億円の上積みが必要と試算し、しかもそのための国庫補助もない、としてクローズド型の建設が難しいことを主張しています。確かに、小さな自治体にとって負担できる金額に限度がある事は事実であり、非現実的な理想論を振りかざすことは許されません。

 しかし、この建設費に関する一部事務組合の説明にはいくつかの点で疑問があります。八丈町議会は12日の議会終了後に話し合った結果、同組合に質問状を出し、以下のような疑問点についての解答を求めることになりました。

 まず、説明では、15年間で排出されるゴミを埋め立てるために5万立米の容積が必要であるとしている点ですが、その算出根拠はあいまいです。焼却場から出る焼却灰は、これまでの実績から6千立米が見積もられますが、それ以外のゴミが何なのか明確には示されていません。八丈島では金属ゴミや建設廃材のリサイクル率が高いのに、そのことは考慮されず、しかも木の根や木の枝などの一般ゴミもここに埋め立てる計画になっているようです。要するに、燃やせないゴミは何でもそこに入れてしまうという計画です。

 次に、クローズド型が10億円も高くつくとする根拠です。特に、処分場からしみ出す水の有害物質を取り除くための水処理施設は、オープン型では大雨にも対応できる大きな施設が必要とされます。しかしクローズド型なら、ゴミ安定化のために散水する水を処理するだけなのに、オープン型と同じ規模で計算しています。将来、屋根をはずしたときにその大きさが必要になると説明していますが、それもずいぶんムダな話です。さらに、クローズド型であれば、ゴミにかぶせなければならない被覆土の量はずっと少なくてすむはずなのに、これも計算されていません。

 さらに、クローズド型には国庫補助がないという点についても、最近の国の動向からは必ずしも補助の可能性がないわけではないとの指摘があります。

 ところで、この処分場の安全性問題で最も大きいのは焼却灰の飛散や、そこからしみ出す水による周辺地域への影響です。そのためにこそクローズド型を求める声も大きいのであり、この問題をクリアできない施設は決して認めるわけにはいきません。しかし、焼却灰とそれ以外の廃棄物を区別して処理できれば話は大きく違ってきます。焼却灰を含まない廃棄物なら、その処理施設に屋根をかける必要性は大幅に縮まるでしょう。また、焼却灰に限定した処分場であれば規模も小さくなり、そこに屋根をかける予算も少なくて済むはずです。そもそも当初の計画では管理型処分場の他に、焼却灰を溶かして無害化できる灰溶融施設も併せて建設する計画になっていました。建設用地が決まらないためこの施設建設は先延ばしになったらしいのですが、それとの関連は今後どうなっていくのでしょうか。いずれにしてもオープン型が18億円かかり、クローズド型はそれより10億円も高くつく、という一部事務組合の説明には整合性がなく、再検討を求めざるを得ないと私は思っています。

 「クリーンアイランド」を目指す八丈町においては、厚生労働省の指示を待つまでもなく、ゴミの減量化と再資源化に全力をあげながら、焼却灰を始めとする有害廃棄物の適正処理には、最優先の課題として取り組むべきです。議会は、一部事務組合の明確な回答を得た上で、将来に禍根を残さない施設の早期建設に向けて、住民の皆さんと一体となった努力を続けていかなくてはなりません。

2002年12月16日 (小宮山たけし記)

 

 

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