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たけしの議会レポート(8)

浅沼町長、樫小・中小の統合を表明
 

 9月9日、10日、12日の3日間、八丈町議会第3回定例会が開かれ、下記のとおりの議事日程で審議が行われました。 浅沼町長は、学校統合についての私の質問に対して「統合はやむを得ない」との立場を初めて表明しました。 会期はまだ続いており、26日が最終日となる予定です。
 

    9月 9日 例月出納検査結果報告
                    一般質問
                    平成15年度一般会計補正予算
    9月10日 平成15年度一般会計補正予算(つづき)
                    平成15年度特別会計、企業会計補正予算
    9月12日 八丈町組織条例等の一部改正
                    平成14年度特別会計、企業会計決算認定
 

 9月になってから異常な猛暑が続いている。議員も執行部も
上着を脱いでの”熱い”質疑が繰り広げられた。
 

  前年度の決算処理について、議会としての認定を行うのが9月定例会の大きな目的ですが、同時に今年度予算についても、現時点での執行状況に合わせた補正について審議されます。その中で、条例改正などの案件についても審議し、合わせて町政全般に関する議員からの一般質問が行われます。
 9月9日には9議員が一般質問に立ち、またその日と10日、12日の補正予算、決算認定の審議過程で、 多くの議員から全般的な質疑が行われました。私は、一般質問で(1)町長の政治姿勢、(2)漁業振興、(3)航路問題の3点を質問しました(詳細は下記のとおり)。また、補正予算、決算認定の審議において、(1)学校統合問題、(2)し尿処理と海洋汚染、(3)少子化対策と学童保育、(4)町立病院の療養型病床群、(4)バスの新路線開設などに関して町の姿勢を訊ねました。 
 樫小・中小の統合問題では、これまで教育委員会から「統合すべし」との意見書が出されていたものの、町長は住民の意見を聞きながら判断するとして、自らの方針は示していませんでした。そこで1 0日 の午後、「学校統合をどうするのか。町としての具体的な案を提示した上で町民の意見聞くべきではないか」とただしたところ、町長はようやく「統合はやむを得ないと考えている」と、初めて見解を示しました。ただ、どこにどのような校舎を建てるかなどについての提案がなかったため、私は早期にいくつかの具体案を町民に示した上で、町民の論議を深めることを要求しました。


ロベの幹を炭にすると良質の活性炭ができるとの試験結果が出たそうで、今、町は、ある機関に委託してさらに研究してもらっているという。「これが成功すれば、島の一大産業になる」と、10日の議会で浅沼町長はそのサンプルを手に胸を張った。

 


第2回定例会への議員の出欠状況
9日、10日は久々(選挙後初めて開かれた10月29日本会議以来初めて)16名全員の出席となりました。12日は菊池陽之助議員が欠席しました

 

将来ビジョンを示せない浅沼町政


◆一般質問の経過

 珍しく16人の町議全員が出席した9日、傍聴席は5,6人であまり盛況とは言えませんでしたが、その中で行われた一般質問は、博、建、幸子、芳清、和鶴右衛、道、松邦、孜行、睦男の 各議員の順に進みました。あいかわらず一般質問を行う議員はほぼ決まっています。でも、一般質問はしなくても他の質疑では俄然元気よく議場を席巻している方もいるんです。一般質問以外は全く発言しない方もいますけど…。
 私の今回の質問では、町政全般に関する問題や、漁業や航路問題での浅沼町政の将来ビジョンを具体的に示すよう求めたのですが、主な答弁がほとんど課長たちに任されてしまうため、私のたずねたい町長の基本姿勢は 示されず、細部の小さな話ばかりになってしまいます。そして、再質問に対してようやく町長が答弁に立っても、町長自身も、むしろ課長たちよりもっと細かい話をするだけで、将来の八丈町をどう作っていくのかについては全く答えてくれません。残念ながら、我が町の町長には将来ビジョンの持ち合わせがないのだと判断するしかないようです。
 

9議員の一般質問のテーマ (質問順)

土屋 博
 1.ゴミ対策を急げ

小宮山建
 1.「町民が住みやすいと感じる町づくり」は進んでいるか
 2.漁業再生のためにどのような対策をとるのか
 3.八丈航路の将来ビジョンを示せ

奥山幸子
 1.産業廃棄物処理の現状と町の対応について
 2.土地利用計画における用途指定について

沖山芳清
 1.情報公開制度の積極的運用について
 2.健康増進法における受動喫煙の防止について
 3.特区制度について

伊勢崎和鶴右衛
 1.航空運賃について
 2.観光振興について

沖山 道
 1.病院の医師同士の疎通図られていますか?
 2.広報は町行政の現況、審議会、協議会の顔触れ、会議の報告を満載して

山下松邦
 1.ブロードバンドについて

菊池孜行
 1.管理型最終処分場の建設について
 2.観光について住民全員で考えてみよう
 3.少子化対策を真剣に考えよう

菊池睦男
 1.空港隧道下・都道交差点から大中五差路へ抜ける町道整備について
 2.空港で迎え専用駐車場の厳格な運用を
 3.石原都政の「第2次財政再建推進プラン」をどう認識し、どう対応するか



◆私の一般質問内容と執行部の回答

(1)「町民が住みやすいと感じる町づくり」は進んでいるか
 今、日本の中央政界において「マニフェスト」という言葉が注目されている。「マニフェスト」とは、もともとはイギリスの政党が国政選挙で示す政策綱領であり、政策目標を設定し、それを達成できたかどうかをきちっとした仕組みを作って検証し、その結果責任をとる政治手法である。この手法は今後、中央政界にとどまらず、地方自治にも波及していかざるを得ないものと信じる。
 浅沼町長は、町長選挙に臨むに当たって「町民が住みやすいと感じる町づくり」を公約に掲げ、本年3月6日に行われた本議会における施政方針表明でも、同様の見解を示している。しかし、これまでの八丈島は、住民にとって決して「住みやすい」と感じられる状況ではなく、「元気のある八丈島」からほど遠い。それは、今年になって町の人口減少が加速していることからも実証されている。だから2年前の町長選において、多くの町民があなたの「公約」に期待し、そして、今や以前にも増して「住みやすいと感じる町づくり」の早期実現を多くの町民が待ち望んで いるのだと思う。
 しかしながら、もともと町長の「公約」の中身は残念ながら具体性に乏しく、あいまいで、いつまでに何をどこまで実現するのかが明確ではなく、先に述べたマニフェストの定義には全く当てはまるものではない。町長は「国や都からお金を取ってくるのが自分の仕事」と公言はするが、そこには町づくりのビジョンは見えない。しかも、今年度の普通交付税額は、前年度比14%減となり、予算獲得が本領のはずの町長への期待もむなしく、町の財政基盤は脆弱化する一方である。
 この夏の天候不順も観光の低迷に追い打ちをかけた。9月から、また一つの大型ホテルが営業を停止した。町の人口は9千人を割る危機的状況にある。だからこそ町長の掲げる「町民が住みやすいと感じる町づくり」は、決して単なるお題目であってはならず、具体的にそのための施策を企画し実行していくことこそ、町長の重大な使命であるはずだ。そこで、こうした厳しい情勢の中で、町長が進めてきた施策に関して伺う。

 1.「住みやすいと感じる町づくり」のためにどのような施策がすすめられたか。

(答:総務課長)  八丈町の町民憲章にかかげた5つの項目にそって「住みよいと感じる町づくり」を進めている。それはゴミのリサイクルなどの環境政策、バリアフリーの住宅建設の福祉政策、浮き魚礁設置による産業振興などに具体化されている。

2.その施策の進捗状況と、今後の展望をマニフェストとして具体的に示されたい。

(答:総務課長)  各議員に示した事業の年次計画に提示してある指針を基にして社会情勢を見据えながら提案していくので議会の皆さんの協力をお願いする。


(2)漁業再生のためにどのような対策をとるのか
 八丈島漁協の「漁協再生5カ年計画」の内容は、コストを削減し、収益力を上げ、財政基盤を強めて行くために、組合員の負担する出資金の拡大や諸手数料の値上げ、職員のリストラや、給与、退職金の圧縮などが上げられ、組合員、職員双方にとって極めて厳しいものになっている。 漁業組合の再建は漁協自身が自助努力によってなすべきであるが、八丈島の基幹産業は、全ての町の産業、そして住民福祉にも重大な不安材料になっており、町も漁協に出来うる限り支援していくことは、全町民の願い である。
 漁協の経営を圧迫している原因を整理すれば、魚が獲れない、魚価が安い、そして漁協の赤字体質という3点に絞られる。そこで、漁業の再興、漁協の再建を図っていくために、それらの問題を分析しながら、行政として対処できることに全力で取り組むべきであるとの観点から町としての取り組みを伺う。
 まず第1点は、漁獲高を回復するための対策。浮き魚礁の新設や、養殖事業の導入などの新しい試みも行われてきているが、私はそうした事業だけでなく、不漁の原因そのものに対する究明が必要ではないかと考えている。地球温暖化、乱獲、海洋汚染など、様々の理由が考えられるが、未だにはっきりした因果関係がわからない。聞くところによると、隣の三宅島の周辺海域には珊瑚礁が復活しているという。三宅島は噴火による全島避難から3年を経たが、住民がいなくなったことが珊瑚礁の復活に影響したことは明らかだ。したがって、住民生活が周辺海域にどのような環境変化をもたらしているのかが解明されれば、自ずと魚が帰ってくる海の環境を回復する方策も見えてくるはずだ。そして、これこそ漁民だけで解決できる問題ではなく、行政がはたすべき大切な役割ではないかと思う。そこで、不漁の原因についてどう認識し、解決のために対策を講じているかについて お聞きしたい。
 つぎに、獲れた魚をどうやって売るかについて。今は、水揚げされた魚の販売はすべて漁協にゆだねられているが、果たして漁協職員だけで販路の拡大、流通システムの改善という重大な課題を担いきれるのか。神津島などでは仲買業者の存在が大きいが、こうした企業間競争を導入することも検討課題にすべきではないか。 魚の市場もインターネットによる情報化時代に対応しなければ生き残れない時代になっていく。そして、地産地消という流通の新しいコンセプトにも対応しなければならない。そうした新しい流通システムを開拓していくことには、町も積極的に取り組むべきだ。そこで、魚価の低迷を打破するために流通システムの改善について質問する。
 3番目に漁協の財政問題。今年行われた八丈島漁協の総会資料によれば、前年度はおよそ4千万円の黒字となり、今年度に繰り越された赤字幅が約2億円に圧縮されたことになっている。しかし、これまでどこに問題があってここまで赤字が拡大し、前年度の黒字はどうやって実現できたのかは、この資料の細部を見ても良く解らない。6月議会では、赤字は今後さらに増えてくる見通しであるとも言われた。そこで、膨大な負債にあえぐ漁業組合の財政状況と再建の展望をどう認識しているのかについて示してほしい。

1.不漁の原因についてどう認識し、解決のために対策を講じているか。

(答:産業観光課長)  不漁の原因は海水温の上昇、黒潮の北上などの自然環境の変化や漁業技術の向上による資源の減少などが考えられる。資源の保護と回復に向けての制度づくりや、「作り育てる漁業」の支援、浮き魚礁の設置などを計画している。

2.魚価の低迷を打破するために流通システムの改善に取り組む用意はあるか。

(答:産業観光課長)  インターネットでの販路拡大、長期イベントと抱き合わせた朝市などの地場流通への取り組みを検討したい。

3.膨大な負債にあえぐ漁業組合の財政状況と再建の展望を示せ。

(答:産業観光課長)  自立した漁協への転換を目指す「再生5カ年計画」を東京都、都漁連、都信漁連の指導、助言を得て着実に実行していくことが再生への道と考えている。

(3)八丈航路の将来ビジョンを示せ
 
2年後の2005年春から、小笠原航路には超高速貨客船、テクノスーパーライナー(TSL)が就航する。東京−小笠原間をこれまでより10時間短縮して約16時間で結ぶことになる。町長は、このことによって、その役割を終えるこのおがさわら丸を八丈島に就航させたい希望をお持ちのようだ。そしてそのための港湾施設の整備拡充を国や東京都に求める旨、これまで何回か表明した。
 そこで、このおがさわら丸について見てみると、かめりあ丸と比較して総トン数で2倍近くも大きいが、旅客数はほとんど変わらない。そしてその大きさ故に、八丈島に就航させるには現状の港湾施設では不十分であり、底土港は水深の掘り下げ、岸壁の延長が必要になり、八重根港の場合はさらに大工事になるという。しかも、1航海にかかる運行経費は船の大きさに比例して大きくなるということで、それでなくても赤字航路といわれる八丈航路におがさわら丸が就航するとなると、東海汽船にとってますます大変なお荷物になる可能性がある 。
 町長は、こうした不利な条件を承知の上でおがさわら丸の八丈就航を求めているのか。もしそうであるならどこにそのメリットを見ているのか。もしも、港湾関連土木工事を引きだすことだけが目的だとしたら、それはあまりにも時代錯誤の政治感覚と言わなくてはならない。
 そもそも、このTSLの小笠原就航によって、東京島嶼の航路は一躍、高速化の時代へ突入する。すでに大島、新島等の航路は、昨年4月からジェットフォイルが就航し、一番遠い神津島でも東京まで3時間かからない時代になっている。こうして技術革新が海上交通に大きな変革をもたらしている時に、八丈島だけがこのまま取り残されることを見過ごして良いのか。少なくとも、新しい時代に対応した八丈島の海運の将来計画を早急に策定すべきではないか。そして新しい船舶の選定も、それに基づくものでなければならないのではないか。その際、高速化だけではなく、小笠原や、北部島嶼などとのアクセスをどうするのか、あるいはまた、カーフェリー導入なども含めて多角的に検討すべきだ。
 少なくとも、町長のおがさわら丸誘致論には、将来の八丈島の海運をどう作っていくかという戦略が見えない。そして、そうした戦略なしに、おがさわら丸を安易に誘致したのでは、八丈島の生命線である海上交通には何の発展も期待できないどころか、八丈島の産業にとって致命傷になるほどの流通コストの拡大につながりかねない。そこで次の点についての見解を伺 う。

1.おがさわら丸の八丈就航にどのようなメリットがあるのか。

(答:空港港湾対策室長)   おがさわら丸は大型なので輸送能力もあり就航時間の短縮も可能なので大幅な輸送の改善が期待できる。

(答:町長)  おがさわら丸については、東海汽船からの要請があって、八丈就航を都にお願いしている。

2.TSLへの小笠原就航の後も年一度の八丈島寄港は存続できるのか。

(答:空港港湾対策室長)  TSLの八丈島への接岸には岸壁の改良が必要なので難しいが、TSLのドッグ入りの時の代船が確保されるはずなので、そのような時を利用するのも一案かと思う。

3.海上交通も高速化が進む中で、八丈航路を高速化する計画はないか。

(答:空港港湾対策室長)  都で検討中なので多少時間がかかるが、海上輸送の高速化・経済性を求め、安定した輸送体制確立へ向けて関係者に働き掛けていく。八丈島は沿海ではないので、ジェットフォイルを八丈に就航させるのはむずかしい。

 

2003年9月14日 (小宮山たけし記)

 

 

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