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たけしの議会レポート(9)

処分場中之郷建設に3319名が反対署名

 八丈町議会の第4回定例会12月9日、10日、11日、そして17日の4日間にわたって開かれ、下記のとおりの議事日程で審議されました。
  この議会を控えて12月初めから中之郷住民を中心にした「大切な水資源を守り郷土の未来を考える会」(大沢進也会長)が、管理型最終処分場を中之郷への建設することに反対する署名運動をおこない、3319名もの署名を八丈町長宛に提出しています。そこで私はこの住民の声を重く受け止め、これを支援する立場から一般質問を行い、町の誠意ある対応を求めました。

  12月 9日 例月出納検査結果報告、定期監査報告
                    一般質問
  12月10日 平成15年度一般会計補正予算
                   平成15年度特別会計、企業会計補正予算
                   公聴会参加者実費弁償条例制定、町道請負工事契約変更
  12月11日 平成14年度一般会計決算認定
                   平成14年度特別会計決算認定
  12月17日 管理型最終処分場建設反対陳情(田持組合)を不採択決定
                   議会改革検討委員会に作業部会設置を決定
 

 9月になってから異常な猛暑が続いている。議員も執行部も
上着を脱いでの”熱い”質疑が繰り広げられた。
 

 12月9日には9議員が一般質問に立ちました。私は、「町長の政治姿勢、(2)漁業振興、(3)航路問題の3点を質問しました(詳細は下記のとおり)。また、補正予算、決算認定の審議において、(1)学校統合問題、(2)し尿処理と海洋汚染、(3)少子化対策と学童保育、(4)町立病院の療養型病床群、(4)バスの新路線開設などに関して町の姿勢を訊ねました。 
 樫小・中小の統合問題では、これまで教育委員会から「統合すべし」との意見書が出されていたものの、町長は住民の意見を聞きながら判断するとして、自らの方針は示していませんでした。そこで1 0日 の午後、「学校統合をどうするのか。町としての具体的な案を提示した上で町民の意見聞くべきではないか」とただしたところ、町長はようやく「統合はやむを得ないと考えている」と、初めて見解を示しました。ただ、どこにどのような校舎を建てるかなどについての提案がなかったため、私は早期にいくつかの具体案を町民に示した上で、町民の論議を深めることを要求しました。


ロベの幹を炭にすると良質の活性炭ができるとの試験結果が出たそうで、今、町は、ある機関に委託してさらに研究してもらっているという。「これが成功すれば、島の一大産業になる」と、10日の議会で浅沼町長はそのサンプルを手に胸を張った。

 


第4回定例会への議員の出欠状況
9日、10日、11日は菊池陽之助議員を除く15名が出席。、17日は16名全員の出席となりました。
 

将来ビジョンを示せない浅沼町政


◆一般質問の経過

 珍しく16人の町議全員が出席した9日、傍聴席は5,6人であまり盛況とは言えませんでしたが、その中で行われた一般質問は、博、建、幸子、芳清、和鶴右衛、道、松邦、孜行、睦男の 各議員の順に進みました。あいかわらず一般質問を行う議員はほぼ決まっています。でも、一般質問はしなくても他の質疑では俄然元気よく議場を席巻している方もいるんです。一般質問以外は全く発言しない方もいますけど…。
 私の今回の質問では、町政全般に関する問題や、漁業や航路問題での浅沼町政の将来ビジョンを具体的に示すよう求めたのですが、主な答弁がほとんど課長たちに任されてしまうため、私のたずねたい町長の基本姿勢は 示されず、細部の小さな話ばかりになってしまいます。そして、再質問に対してようやく町長が答弁に立っても、町長自身も、むしろ課長たちよりもっと細かい話をするだけで、将来の八丈町をどう作っていくのかについては全く答えてくれません。残念ながら、我が町の町長には将来ビジョンの持ち合わせがないのだと判断するしかないようです。
 

9議員の一般質問のテーマ (質問順)

沖山芳清
 1.町立病院に新たに眼科を設置することについて
 2.一般質問に対する答弁の進み具合について

小宮山建 
 1.管理型最終処分場建設計画策定において八丈町の住民意思はどのように
   反映されたか?
 ○用地選定の経過はどうだったのか
 ○町長は都の幹部に「脅された」と発言したが、その真相は
 ○反対署名に対する町の対応は

沖山 道
 1.町の審議会、協議会等どのように見直されたのか問う
 2.ごみ処理、リサイクル、分別収集の徹底を図れ
 3.町民の疑問、質問、連絡に対し、すみやかな反応を求む

伊勢崎和鶴右衛
 1.町道から都道への変更について
 2.台風の片づけについて

奥山幸子
 1.福祉政策の一環としての子育て支援施策について
 2.小島のノヤギ駆除の現状と今後の展望について

山口 英治
 1.樫立小学校・中之郷小学校の統合に関して

山下松邦
 1.人口海底山脈について
 2.ヤスデについて
 3.災害時の危機管理について
 4.ブロードバンドについて

菊池孜行
 1.八丈町の教育一般のことと社会教育について
 2.現在だれもいなくなったいる名誉町民に新たな選定を
 3.過日報じられた航空機ニアミス事故について詳しい説明を

菊池睦男
 1.ヤギ活用による島おこしの可能性を探れ
 2.ジェネリック薬品利用で患者の出費を減らし、病院経営の安定を図れ



◆私の一般質問内容と執行部の回答

(1)管理型最終処分場建設計画策定において八丈町の住民意思はどのように反映されたか?

 

  • 東京都島嶼町村一部事務組合が、管理型最終処分場の建設用地として中之郷の民有地を選定したことについて、地元住民を中心とする強い反対の声が上がっているが、その背景には、この用地選定にあたって住民の意思を反映するための手続きが充分に行われず、その結果、その予定地にある問題点を見いだせなかったことに手続き上の失敗があると思われる。今後、さまざまの分野に広がることが予想される広域行政を進めていく上で、八丈町の自主性を失うことなく最善の対処をするためにも、今回行われた一組の行政手続きとそれに対する町の対応を検証し、問題点を明確にしておかなければならない。

  • 1.一組が建設予定地として複数の候補地をリストアップし、それを段階的に絞り込んでいく過程において、八丈町はこれにどのように関与し、かつ本議会の意思はどう反映されたのか、その経過に沿って明らかにされたい。

  • 2.町長は、東京都の幹部から「計画に同意できないなら町単独でやれと脅された」と述べているが、いつ、誰に、どのような場で「脅された」のか。そして、町長がそれを「脅し」と受け止めた理由は何か。

  • 3.今回の用地選定に反対の声を上げている中之郷を中心とする住民の動きを、町長はどう認識しているか。また、今後、この反対の声にどのように対応するのか。

  • 東京都島嶼町村一部事務組合が、管理型最終処分場の建設用地として中之郷の民有地を選定したことについて、今、地元住民を中心とする強い反対の声が上がっています。中之郷の大沢進也さんを代表とする「大切な水資源を守り郷土の未来を考える会」による「中之郷水源地域に管理型最終処分場を建設する計画に関する陳情書」はすでに町長にも届けられたと聞いています。この陳情書に対しては、八丈町に住居する者の2751名、そして島外居住者568名、合わせて実に3319名もの人たちの署名が寄せられました。

     東京都、一部事務組合、環境省、総務省、そして八丈町が提出の宛先となるこの陳情書は、一組が進めている処分場計画の全てを否定しているわけではありません。処分場の必要性は認めながらも、今回の用地選定に関して、「ここは決して建設用地として適地ではありません」と異議を唱え、計画の凍結、変更を求めているのです。

     一組は地元住民の意見にほとんど耳を傾けることがありませんでした。住民の健康と安全を守るためにこそ、処分場は建設しなければならないのに、この目的を果たそうという姿勢がそこには見られず、その一組の事業の進め方自体に対する拭いがたい不信の念を地元の多くの住民が抱いています。そして、その結果として、地元で長く暮らしてきた住民でなければ知りようもなかった、地元特有の条件に関する情報を、一組は把握することが出来なかったのでしょう。

     すなわち、陳情では、ここに処分場をつくれば、わき水の豊富なこの地域の地下水脈を破壊し、三原山山系全体に複雑につながる水系に影響しかねないと主張しています。また、地元に長年暮らしてみて、この地域が気象条件からみてもこうした施設にはふさわしくないのだと言っています。

     もちろん、地元で暮らしたことのない私には、そのことを肯定や否定できる判断力はありません。ただ、こうした地元の皆さんの情報や意見は、用地選定において考慮すべき条件として、重要度がきわめて高い項目に位置づけられべきではないのでしょうか。

     一組の皆さんは、用地選定において21の候補地から、この中之郷の土地を選定していった経過を、住民説明会の場で明らかにしました。それによると、自然公園法であるとか、保安林の関係などの、さまざまの法的規制をクリアできる用地としてこの土地に絞り込まれていったいきさつが述べられました。私はその説明をうかがって、この方がたは確かに有能な官僚かも知れないけれど、向いている方向は彼らの所属する部署やその上にある組織、法律などのきまりや、作り上げられている行政の仕組みでしかないのではないか。一番大切にされなければならないはずの住民には、ほとんど意識が寄せられてないのではないかという気さえしてきます。

     もし、そうでないならば、なぜこのような用地選定が行われたのでしょうか。先に述べた水脈や気象条件については私は判断できません。しかしこの土地から湧き出す水は安川となって、尾越、藍ヶ里、藍ヶ江と流れていきます。そして、ひとたび水があふれることあれば、影響はさらに広い範囲に広がる可能性があることは、ここの地形をみれば誰にも解ることです。このような住民の居住地域に流れ込む水系の上流に、わざわざ用地を選定しようとするのはなぜなのでしょうか?

     また、処分場に投入する埋立対象物が確定していないのに、どのようにして5万立方bという施設規模を算出したのかという疑問が出されています。そしてそのことは、焼却灰のほかの有害物質を適正に処理できる見通しのないまま計画を進めているのではないかとの疑いにもつながっています。

     いずれにしろ、この建設計画に対する住民の強い反発が生まれている状況の背景には、この用地選定にあたって住民の意思を反映するための手続きが充分に行われず、その結果、その予定地にある問題点を見いだせなかったことに手続き上の失敗があると思われます。

     ところで、先般行われた総選挙は「マニフェスト選挙」として話題を呼びましたが、それに先立つ9月定例議会において、私は、道徳町長が町政を進める上での基本姿勢を「マニフェスト」として明らかにすることを求めました。「町民が住みやすいと感じる町づくり」を進めるための具体的な施策をうかがったのですが、残念ながらそれに対する町長の答弁は得られず、代わって総務課長が「町民憲章」の抽象的理念を述べるにとどまりました。しかし、今、地方分権が叫ばれている中で、町づくりのはっきりした指針を持つことはますます重要な課題になっています。この処分場建設のような広域行政も様々な分野に広がっていくことでしょうが、であるならば、ますます自治体としての主体性をどうやって守り抜いていくのかが問われるのではないでしょうか。

     処分場に関する住民説明会で、町長は「8町村でやっている事業で、都からは八丈が同意できないなら抜けて単独で整備しろとまで言われた。他の事業の面倒も見ないといった圧力をかけられ、脅しと感じることもあった」と述べました。ほんとうにそんな発言があったのですか?

     これは自治権に対する重大な不当介入であり、私はこの発言を決して見過ごすことはできません。自治体の自主的な政策決定権を踏みにじり、中央の方針にむりやり従わせようとする明らかな越権行為です。その発言の事実関係を明確にした上で、町としてはっきりと抗議の意思を示し、発言の撤回を求めるべきではないでしょうか。そして、自治権さえ軽んじるこのような行政手続きの中で、この処分場建設が進められていることで、安全にたいする住民の不安を消すことなどできません。

     町長は、ことあるごとに町民の意思に反する用地選定は行わないと述べてきました。「町民が住みやすいと感じる町づくり」を基本姿勢に掲げる町長の言葉として、私は3000名を超える署名者の皆さんとともにそれを信じたいと思います。そしてまた、私自身を振り返ったとき、こうした住民の重みのある声をこれまで汲み取ることができず、この議会に反映できなかったことを強く反省し、今一度原点に返って住民の意思を第一とする議会活動に立ち返ることを、すべての議員の皆さんにも呼びかけたいと思っています。

     その上で、今後さまざまの分野に広がることが予想される広域行政を進めていく上で、八丈町の自主性を失うことなく最善の対処をするためにも、今回行われた一組の行政手続きとそれに対する町の対応を検証し、問題点を明確にしておかなければならないと思います。

    2003年9月14日 (小宮山たけし記)

     

     

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