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議会中継が大人気

◆矢島町光ファイバー網整備事業の視察報告◆

自治体として全国初の光ファイバー網整備を進める矢島町を視察してきました。町職員と一緒に行きましたが、私自身は私費による個人としての活動です。矢島町の取り組みは八丈島にブロードバンドを進めるために、大いに参考となる事例でした。以下はそのレポートです。

《視察の要項》
日    程 平成15年2月27日(木)〜28日(金)
目    的 全国初の光ファイバー網整備を進める矢島町の事例研究
同 行
者   八丈町総務課企画係 笹本博仁係長
 秋田県由利郡矢島町

《矢島町地域情報交流基盤整備モデル事業の概要》

事業の目的
インターネット人口の増加、通信環境の変化が進む中、情報ネットワークシステムの構築により地域情報化を図ってきた矢島町で、全町を対象とした加入者系光ファイバー網を整備し、民間ベースではサービスの開始が見込めない超高速インターネットサービス(YBネット)を、矢島町民に対し低額で提供する。

事業費

(千円)

 
光ケーブル工事 276,600

  町内総延長60.6km 

送受信装置 20,800  
付帯工事費

62,600

 
   計

360,000

 
     
財源内訳    
国庫補助金 119,300    事業費の1/3
県補助金 100,000   限度額
一般財源(過疎債含) 140,700    単独分含む
     
利用者負担

(円)

 
終端装置工事費他
(初期費用)

28,455

 (Bフレッツは29,295円)
月額利用料 6,825 

 (Bフレッツは13,230円)

加入予定者数    301世帯(平成15年1月末現在)


事業化への沿革

平成 9年 9月

事務改善委員会の開催

平成10年 6月

ホームページ開設

平成11年 2月

情報化先進地視察

平成11年 5月

自治体ネットワーク施設整備事業採択準備

平成11年 7月

情報化住民アンケート実施

平成11年 8月

先進的情報通信システム整備事業に変更

平成11年11月

採択決定

平成12年 1月

情報化推進委員会の開催

平成12年 4月

システム運用開始

平成14年 1月

地域情報交流基盤整備モデル事業制度化

平成14年 3月

光ファイバー網・テレビ共同受信住民アンケート

平成14年 4月

地域情報交流基盤整備モデル事業ヒアリング

平成14年10月

地域情報交流基盤整備モデル事業交付決定

平成15年 4月

YBネット運用開始(予定)


矢島町の概要

面積

123.63平方km

人口

6,353人 (うち65才以上の比率 28.7%)

世帯数

1.939

特色

秋田県最南端の鳥海山山麓の高原に位置し、農林業だけでなく弱電関連企業の従事者が多い。しかし不況が続く中で、次第に過疎化が進んでいる。

 

秋田県の山間部にある矢島町はまだ雪深かった。
高原鉄道にそって子吉川が日本海へと流れていく。

事業化の背景

・ 町執行部の積極的取り組みが早くから始まった。
・ 民間ベースでは当面矢島町の通信環境整備が見込めなかった。
・ アンケートで、町民の情報化へのニーズが高いことが明らかになった。
・ NTT東日本も協力を惜しまず、意欲的に全国初のシステムを開発しようとした。
・ テレビ難視聴解消のための共同視聴システムへの利用も期待された。

役場へ向かう途中で電柱に登っての工事を目撃した。「何の工事ですか?」と訊くと、「住宅に光ファイバーを引き込んでます」との答えが返ってきた。

《八丈島との条件比較》
・ 離島と山間地との違いはあるが、いずれも民間ベースではブロードバンド化が望めないという共通点を持つ。
・ 人口は八丈島の3分の2だが、中心地の密集度は矢島町の方が高いようだ。
・ それでも、いくつかの集落が分散している状況はあり、光ケーブル総延長についての八丈島との比較はわからない。
・ Bフレッツが整備されている羽後本庄(うごほんじょう)市まで20キロしか離れていないが、途中は山地でさえぎられているため、外部との接続にも経費がかかったことがうかがえる。
・ この点、施工者のNTTは情報を開示していないが、事業には積極的だったという。
・ これに対し八丈町でブロードバンドを進めようとしていることに、NTTは今のところ必ずしも協力的な姿勢は見せていないようだ。
・ 矢島町は、情報化に早くから取り組んでいた点で八丈町と大きく相違する。
・ 私の結論として、八丈町が町として積極的姿勢で取り組めば、それ以外の条件の違いは、この事業の実現の決定的な障害にはならないものと考えられる。

情報化が進む矢島町役場。約90人の職員が働いているそうだ。

役場内の情報センター。町に張り巡らされる光ケーブルは、ここから世界へと繋がる。

議会中継ができる町議会の議場。議員数は八丈町と同じ16名だ。議会中継はNHKの国会中継より人気が高いという。中継が始まってから、議事進行もしまりが出てきたとの評判だ。

中継装置は安い音響設備を改良して作り、数百万円で実現したそうだ。

 

 

矢島町企画商工課参事の泉谷健一さん(中央)と、同課企画情報係長の滝野由紀夫さん(右)。この方々が全国初の事業実現に向けて町をひっぱって来た。

 

2003年3月1日 (小宮山たけし記)

 

 

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