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輝かしい歴史ある航空路線を守り

発展させるための決議

 離島である八丈島の島民にとって、航空路は生活路線であり、かつ産業路線でもある。八丈島には、全国の離島に先駆けて、戦後いち早く航空運輸体系を整備してきた歴史的な経緯がある。その中で全日本空輸株式会社が経営している本島への航空路事業に対しては、島民一同感謝しているところである。

 また、10月1日より東京、八丈島間の航空運賃が引き下げられたことは、島民生活の向上とともに、島内産業の発展にも大きく貢献するものと期待される。全日空が、今日の航空業界における厳しい経営環境の中で、八丈島民の悲願に対して特段に配慮して行った運賃 改定を、町を挙げて歓迎する。

 ところで全日空は、この運賃引き下げを継続する条件として、来年3月までの半年間で対前年同期比10%旅客増実現を八丈町に求めた。それと同時に、これまで東京、八丈島間に運行されてきた4便のうち1便について、大島を経由させるとの路線変更をも実施した。

 もとより、来島者を増やすことは八丈町の目指すところであり、示された条件にかかわらず、この運賃引き下げを契機として、全島民が旅客増に取り組むことは当然である。ましてや、運賃引き下げを継続するために「10%旅客増」が条件となれば、島の命運がかかるものと受け止め、八丈町は今「+(プラス)1万人推進室」を設置して、これを達成するための大運動を、町を挙げて展開しているところである。

 この改定に先立ち、去る7月7日に全日空による本議会への説明があったが、その場では詳細が明らかにされなかった。そのため、改定実施前には予測し得なかった多くの問題が次第に表面化してきており、これをそのまま見過ごすことはできない。とりわけ、大島経由便の現状における利便性の悪さは到底受け入れることができない。

 いうまでもなく、改定前に4便あった羽田−八丈島の直行便のうちの1便を大島経由とすることについては、本議会としても、運賃引き下げの代償として容認した経緯がある。

 しかしながら、4便のうち2便をそれぞれ片道で大島経由にしたため、その両便ともに、定員が126名のB737−500型機しか使えず、その結果、搭乗可能人員が大幅に減少した。そのため特に、現在の最大座席提供数が、昨年度の年末年始などの多客期における搭乗者数の実績に及ばないことは「10%旅客増」にも大きな制約となることは明らかである。加えて、貨物の積載量と輸送時間でも制約が生じ、農作物や生鮮品などの入出荷が制限され、産業面への弊害も見られる。

 さらに、大島経由便の当日券は2万6300円と極めて高額であり、しかも前日までに予約しなければ割引かれないため、その日の都合で当日になってこの便に切り替えるには、その高額料金を支払わなくてはならない。欠航があった時のみ、割引料金のままで変更できるようになったものの、それだけではまったく不十分である。

 また、「10%旅客増」の旅客数に大島−八丈島便の旅客数を含むか否かの結論が出ていない。もともと大島便の新設によって搭乗可能人員は大幅減となり、昨年並みの旅客を確保することにさえ多大の努力が必要となっている。その中で、さらに大島−八丈島便の旅客数を除外するとなれば、その条件はあまりにも過酷という他はない。

 いずれにしても、この大島経由便の利便性の悪さと、あまりにも高額な料金に八丈島民は困惑している。そのことは、10月におけるこの便の搭乗率が10%に低迷したことで明白に示されている。このままでは、これはいずれ不採算路線として廃止となり、完全な減便につながってしまうのではないかと、本議会としても憂慮せざるを得ない。

 空港での搭乗手続きで、利便性の悪さに直面した多く利用者が悲鳴を上げており、貨物の受け取りや発送の現場でも、発着の遅延や積み残しが事業者にとっての重大な問題となっている。この事態に多くの島民から批判や改善を求める声が後を絶たず、中には、運賃値下げは放棄しても、元通り東京直行便を4便に戻せと要求する声さえ聞かれる。

 本議会は、こうした切実な島民の声を深刻に受け止め、今回の運賃改定に伴う路線変更によって著しく失われた利便性を可能な限り回復し、この輝かしい歴史ある航空路線を守り発展させていくために、全日空に対し、次の5点について早急に改善することを強く求めるものである。

 

1.   現在、八丈島→羽田が第2便目、羽田→八丈島が第3便目となっている大島経由便については、往復とも第2便目とすること。

2.   大島経由便の料金は、当日券もふくめて、羽田−八丈島直行便以下に引き下げること。

3.   東京直行便と大島経由便は、当日空席がある限り、利用者の都合によって、相互の自由な振替を可能とすること。

4.   年末年始等の多客期には、昨年の実績を上回る座席を提供できるよう、臨時便の増発などの対策を講じること。

5.   運賃引き下げ継続の条件としての「10%旅客増」の旅客数の算定に、大島−八丈島便の旅客数を含めること。

 

以上、決議する。

 

平成17年11月15日

 

八丈町議会議長 長戸路 義 郎

 

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