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たけしの議会レポート(7)

 

開かれた議会をめざし議会改革始まる

 4月下旬以降の八丈町議会の動きと私の主な活動は下記の表の通りです。またこの間、議会運営委員会(沖山道委員長)では、「住民に開かれた活力ある議会」をめざして議会改革ための検討作業も進められてきています(報告書参照)。

    4月27日、28日 青ヶ島視察(ゴミ焼却場、雨水集水施設、製塩工場ほか)
    5月 3日、 4日 御蔵島視察(ゴミ処分場、御蔵小中学校、エビネラン栽培施設ほか)
    5月 8日 全員協議会
    5月13日 平成15年度要望活動(東京都庁、国土交通省、総務省、水産庁等)
    5月29日 臨時議会・全員協議会
    6月 6日 第2回定例会
    7月 7日 〜 9日 養和会視察(東京、神奈川、千葉の各特別養護老人ホーム等)
    7月20日〜22日 神津島視察(村役場CATV施設、ゴミ処分場、神津島漁港ほか)
    8月 1日 臨時議会・全員協議会
    8月 5日、6日 議会広報研修会(全国町村議員会館:東京都千代田区)参加
    8月18日 経済企業委員協議会



神津島役場内CATV制御盤。村議会も毎回全家庭に中継される。

 

管理型処分場で議会の主張通らず

第2回定例会(6月6日)

 ところで、6月6日に開かれた第2回八丈町定例議会は、8人の議員が一般質問を行ったほか、一般会計、特別会計の補正、および条例の一部改正に関する執行部案が審議され、討論の末、総額107億6700万円の補正予算を原案どおり可決しました。またこの日は、地方分権を進める財政基盤の確立を国に求めるために、議員提出によって「『三位一体の改革』の早期実現に関する意見書」を議決しました。さらに、住民から出された2件の請願を採択したほか、管理型最終処分場の中之郷建設に反対する趣旨の陳情について、総務文教委員会(奥山博文委員長)に付託することとしました。

 管理型最終処分場については、本議会でもその構造や立地について白熱した議論が行われてきましたが、町長は、オープン型施設を中之郷地区に建設する一部事務組合の計画案に沿って進めたいとの意向を示しました。しかし議員の中には、この計画どおりの建設促進を求める意見もあります。しかし私は、特に中之郷の建設予定地に関して強い異論も出されているなかで、住民からも不安や要望などに誠意を持って対応し、住民本位の選択を進めることを求めることを強く主張してきました。

 しかし、その後一部事務組合は、すでに長期にわたる検討の末に出した計画案を変更する理由がないとの立場を変えようとせず、町執行部もこれを受け容れる決定を下しました。私は、今後他の議員とも連携しながら住民の声を重視しながら最善の選択をするための努力続けていくつもりです。


今回から防災無線で議会開催の案内が始まったせいもあって傍
聴席には大勢の町民が集まった。これも議会改革の成果である。

 


第2回定例会への議員の出欠(議席順)
〈出席〉  芳清、建、和鶴右衛、松邦、道、幸子、博文、英治、博、睦男、孜行、六郎、一美、宗春、義郎(15名)
〈欠席〉 菊池陽之助


◆一般質問の経過
 一般質問を行う議員はほぼ決まってしまったようです。もちろん、一般の議事の中でも質問は行われますから、ここに登場しない人が全然、発言しないわけではありません。でも発言回数には偏りがありますね。中にはほとんど議会に出てこない方もいらっしゃるし…。 (もちろん、それだけが議員活動の全てではないのですが…。)


一般質問にたった議員とそのテーマは次の通り。(質問順)

小宮山建
 1.5月に行った定例要請行動について
 2.住民基本台帳の本格運用について
 3.最終処分場と中間処理計画の策定について


沖山芳清
 1.人事評価制度の導入について
 2.公共施設の維持管理について
 3.八丈島漁協の支援策について

沖山 道
 1.看護師は忙しい中でも患者、家族に優しい対応を
 2.子ども家庭支援センターの設置を求む
 3.走行車より見て解りやすい案内表示板設置も求む
 4.農薬の使用規制が厳しくなる中、町民の意識改革を図れ

奥山幸子
 1.八丈島牛乳生産の現状ついて
 2.デポジット制度について

菊池睦男
 1.大里林道の整備には、多角的、総合的角度からの検討を
 2.八重根港通広場隣地の民家保護のための暴風、防潮対策を

山下松邦
 1.ブロードバンドの進捗状況について

菊池孜行
 1.ごみ最終処分場の建設計画を一日も早く進めて下さい
 2.新型肺炎(SARS)について
 3.飛行場の駐車場の中に有料駐車場の設置を

伊勢崎和鶴右衛
 1.光る茸について



◆私の一般質問内容と執行部の回答

(1)5月に行った定例要請行動について
 
5月13日から15日にかけて定例の要請行動が行われ、私も沖山芳清、奥山幸子の両議員と共に町長、議長に同行し、各省庁や都庁各局等にたいする要請に参加させていただいた。私としては議員として初めてのこの行動のなかで、中央省庁や都の各局と町の位置関係についてなど、学ぶことも多かった。特に、町の施策を遂行するために不可欠の財源を確保する上で、中央と地方自治体の関係や、その行政の仕組みを垣間見ることが出来たことは貴重な経験になったと感じている。
 しかしながら、こうした要請行動を行うこと自体にも経費はかかっており、どれだけの成果を上げることが出来たか、改善すべき事がなかったかについて、しっかりした評価と反省をしながら、今後の行動へとつなげていくことも大切であると考える。そこで、今回の要請行動の責任者であり、中心的役割を担われた町長として、この行動がはどのような成果を上げたと考えているかを伺いたい。

1.ブロードバンドの導入に向けて、国や都の姿勢をどう受け止めたか。それを受けて町のIT化対策は、具体的な工程表の策定が課題になったと思うが、町はどう取り組むか。

(答:総務課主幹) 離島のブロードバンドの整備は重要な課題となっている。財源確保の問題と合わせて情報化計画の策定が必要である。総合開発審議会の中に特別部会を設置すべきだと思う。IT推進室の必要性についても検討する。

2.各課題に対しての町長の要求に対して、都幹部の対応は厳しいものがあり、むしろ町のソフト面での努力を求められたと思うが、町長はどう受け止めたか。

(答:町長) 東京都も国も、すぐ「はい」と返事してくれる人は1人もいません。長年の継続の中で時代に対応して実るわけですから、ご理解いただきたい。大臣室へ行けば、全国からの要望書類が山積みになっている。成果というのはすぐは出ない。議員の皆さんも協力をお願いします。


(2)住民基本台帳の本格運用について
  昨年から始まった住民基本台帳制度は今年から本格運用になるが、これに対し国民のプライバシー保護の観点から多くの問題点が指摘されており、システムへの参加を拒否している中野区、杉並区、国立市などの自治体や、個人的な不参加の自由を認めている横浜市の例もある。そこで国民のプライバシーを保護するとして個人情報保護法が制定されたが、この法律は、目的外利用等に関する行政の裁量幅が大きいことで、公権力による人権侵害を防ぐ有効性に疑問があるばかりでなく、公権力による表現・報道の自由への不当介入を招く恐れが持たれている。
  ところで「有事関連3法案」は、野党の修正案を政府が受け入れる形で、本日、参議院本会議で可決成立する見込みである。その結果、いわゆる「有事」の際、自治体などが国民の基本的人権を規制できることになるが、国民の人権を守ることに関して、日本政府のこれまでの姿勢には重大な疑念を持たざるを得ない。昨年春、防衛庁が「情報公開」を請求した人の個人情報を作成し、庁内のLAN で閲覧できるシステムを構築した、という防衛庁の組織的な人権侵害事件は未だ記憶に新しい。また、自衛隊から隊員募集のための個人情報の提供を求められ、自治体によってはこれに協力しているところもあって、突然、勧誘のダイレクトメールを送られた住民が憤慨しているとの話もある。こうした公権力による個人情報の不当利用だけでなく、役人による職務を逸脱した不正アクセスや情報の漏洩にも国民の不安は大きいのである。
  八丈町においても、これからの高度情報化時代に向かって、こうした個人情報の扱いを厳正に行い、住民の人権を侵害することのないように努めることが、町の重大な責務であり、住基ネットの運用にあたっては極めて慎重に対処するべきである。そこで個人情報の保護の観点から、住民の人権を守ることに関しての町長自身の所見を伺いたい。それにあわせて、八丈町におけるこれまでの住基ネット運用状況と今後の方向について次の点を尋ねる。

1.八丈町でのこれまでの利用状況はどうか。

(答:住民課長) 町に転入して来る方に、二重にコードを付番することのないようにするための確認事務を行っている。

2.今年から始まるサービスはどのようなものか。

(答:住民課長) 8月25日に施行される本格運用後は、申請により住基カードを交付します。住基コードは、「写真つき」または「なし」の2種頼が選択でき、写真つきは全国共通の身分証明書としても利用できます。写真つきで身分が証明できるもの、例えば運転免許証、パスポートがあれば、住基カードがなくても住民票の写しは全国どこの役所へ行ってもとれることになり ます。また、転入転出の手続が簡単になります。住基カードの交付を受けていれば、役所の窓口に足を運ぶことが一度で済みます。

3.個人情報保護法によって、行政に対する住基ネットの運用にどのような規制がかけられたのか。

(答:住民課長) 年基ネットの運用は、住民基本台帳法の中で制度面、技術面、運用面、それから個人情報の保護が取り入れられております。個人情報保護法からの規制はないということです。

(3)最終処分場と中間処理計画の策定について
 管理型最終処分場の建設計画については、東京都からも早急な結論を促されている。しかしその構造、規模、場所の選定等について、ようやく論点が見えてきたきたばかりであって、施設設計の前提となるべき埋立対象物さえ未だに明確にはなっているとはいえない。この段階で施設の規模や構造がどうして決められるのか。拙速な計画によって将来に禍根を残すことのないよう、もっと時間をかけて慎重審議を尽くすべきと私は考えている。
 そもそも、あきる野市の視察によって明らかになったことは、しっかりした中間処理によって、埋め立てるべき最終的な廃棄物の量を可能な限り縮小し、有害性を取り除かなくてはならないことである。町長は、すべての議員にこの施設の視察を勧め、また、住民にも視察させたい意向を示している。そしてその意図は、オープン型処分場に問題がないことを知らせたいことにあるのだと思う。しかし、そのように単純に問題を捉えている町長の姿勢に私は大きな危惧を抱いている。
 問題が単純でないことは、以前見てきた四国や、小豆島の例からも明らかである。とりわけ、八丈町よりもはるかに優れた中間処理施設を備え、しかも毎日数十便のフェリーが通う小豆島でさえ、離島であるが故に産業廃棄物等の搬出に問題を抱えていた。東京から300キロ離れたこの島で、あきる野市ような処分場を作るためには何が必要なのか、そもそもそのようなことが可能なのかどうか。町のごみ処理計画は示されたが、それで果たして充分なのか、あるいはその計画でさえ本当に実現できるのか。この点が明確にしめされなければ、処分場建設に対する住民の不安は決して解消されないし、協力を得る事も不可能だと考える。
 そこで、管理型最終処分場建設は中間処理システムと一体に進めなくてはならないことが明らかになってきた状況に踏まえて、次の点に対する町長の認識と所見を明確に示されたい。

1.中間処理システムを確立するための課題に町長はどう取り組むか。

(答:町長) 中間処理には3億から4億かかり、最終処分場を先に建設する。中間処理システムを同時に建設する資金はないが、近い将来やらなくてはならない。

(答:住民課長) ごみ分別をより細分化していくことや、ごみ有料化の検討など、ゴミ施策の抜本的見直しを、ごみ問題協議会等で検討していく。

2.最終処分場に持ち込まれる廃棄物の規制に関して、一部事務組合と町とはどのように責任を分掌するのか。

(答:住民課長) 最終処分場に持ち込まれる手前までは、町に責任がある。搬入管理に関しては一部事務組合による管理が行われるが、具体的な方法は今後検討していく。

3.産業廃棄物の処理に関する国の指導はどのように行われ、町はどう対応しているか。

(答:住民課長) 廃棄物処理計画に基づき国に補助申請を行う。計画書には様々の計画が盛り込まれているが、今後皆さんとともにさらに検討を進めていきたい。

2003年8月28日 (小宮山たけし記)

 

 

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