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(きょしびし)


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うららかな陽気の中の作業にも厳しい現実が…

  三根底土通りにある東畑(とうばた)交差点近くの高倉で、茅葺き屋根の葺き替え作業が、久しぶりに晴れ上がったこの2月26日に行われていた。今、茅葺き屋根の建物は、八丈島からはほとんど姿を消し、もう、ふるさと村、民俗資料館、そして植物公園などにしか残っていない。ほとんどが公共の所有となって守られていて、その中で、民間の方が所有するものとしては、この高倉が唯一ではないだろうか。しかし、この建物も公共の支援で維持されているらしく、今回の葺き替えも事業主体は東京都だと聞いた。
 ところで、この葺き替えは全面的なものでなくて、四分の一くらいの傷みの激しい部分だけの補修だそうだ。それなのに、作業を担っているのは、何とわざわざ宮城県から来てもらった職人さんなのだそうである。八丈島からはシルバー人材センターの方が数人お手伝いに参加していたが、仕事を任せられる方は、もうこの島にはいなくなったのだろうか。ちなみに、材料になる茅さえも、今は八丈島では質の良い物が採れなくなったらしい。
 うららかな陽気の中でこの作業を目撃した時はわくわくしたが、いろいろ事情がわかってくると、島の文化を守っていくことの困難さを痛感させられてしまった。 
(2003,2,28)



正当性のないアメリカのイラク攻撃

  いま、世界中でイラク攻撃に反対する声がわき上がっています。2月15日にはアメリカを含む全世界で1000万人を超える人々が集会を開き、デモを行い、戦争反対を訴えました。日本で、アメリカで、そして世界の多くの国々で、自治体による戦争反対の決議が続いています。また、国連安保理は2月18日公開協議を開いて非安保理諸国が演説をし、ここでも査察継続、戦争反対を主張する国が圧倒的多数を占めました。その中で、「武力行使決議」採択を求める米英支持を表明した日本の原口国連大使の演説は、平和を希求する世界世論に真っ向から敵対する、きわめて遺憾な内容でした。
 アメリカ=ブッシュ政権は、イラクに大量破壊兵器の放棄を求めるだけではなく、フセイン政権の転覆を公然と主張しています。そのために罪のない多くのバクダッド市民の無差別殺戮を強行しようとするこの戦争は、先制攻撃を禁じた国連憲章にも、査察を求めた国連決議にも、民間人殺戮を禁じたジュネーブ条約にも違反した国際法違反の侵略戦争です。イラク攻撃にはいかなる正当性もありません。
 世界で唯一の被爆国であり、平和憲法を定め、非核三原則を国是とする日本が、アメリカの戦争政策に協力することなど決して許されません。日本は、アメリカに対してイラクへの戦争準備を即刻中止することを強く求めるべきです。
(2003,2,23)



無知の罪

  ブッシュ政権がイラク攻撃への臨戦態勢を強める中で、ある住民の方が資料を届けてくれた。「戦争中毒−アメリカが軍国主義を抜け出せない本当の理由」(ジョエル・アンドレアス作、合同出版)、写真集「イラク、湾岸戦争の子どもたち」(森住卓=もりずみたかし)、「重大疑惑と検証、アフガニスタンにおける劣化ウラン戦争」(アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局編)の3冊である。
「戦争中毒」はイラスト主体で構成され、アメリカの権力中枢が、利権をあさる死の商人たちに牛耳られている実態をあばく内容だ。また他の2冊は、いずれもアメリカが大量に使用している「劣化ウラン弾」によって深刻な放射能被害が広がっている事を告発している。
  資料によれば「劣化ウラン弾」とは装甲車を貫通する威力をもった強力な武器で、その原料は核燃料を濃縮する過程で生みだされる「核のゴミ」なのだそうだ。着弾すると高熱を発して燃え上がり、大量の放射能を周辺数10キロにまき散らすという。アフガン戦争でも洞窟を破壊する目的などで大量に使われたらしく、写真集はその悲惨な被害の様子をまざまざと伝えている。
「劣化ウラン弾」については公的には明らかにされておらず、メディアでの報道も少ないので、私はこの資料を見るまで何の知識もなかった。しかしイラク攻撃の危機がせまっている今、無知であること自体が重大な罪につながることを痛感している。(2003,2,1)



帰ってきたコッコメ

自宅の庭で地面の中の虫をついばむコッコメ

   2003年の幕開けです。新しい年を皆さまはどのようにお迎えでしょうか。
  深く深く落ち込んで、回復への手がかりも見えない日本経済。八丈島でもNTT営業所の撤退、大型ホテルの倒産など、厳しさがつのるばかりです。しかしこんな時代だからこそ、旧来の手法を根本的に見直し、新時代に適応した対策を見出すことが重要なのではないでしょうか。
  ところで、イタチの導入で一時はほとんど姿が見えなかったコッコメ(アカハラ)が今復活してきています(写真)。聞けば、ロベ(フェニックス)の樹上(トゲの上)に営巣する事を覚え、雛をイタチから守れるようになったとか。小鳥たちも懸命に生き残りの道を切り開いているんですね。
  そう言えば、コッコメを救ったこの「フェニックス」の日本語訳は「不死鳥」。フェニックスは「八丈町の木」にも指定されています。復活したコッコメとそれを助けたフェニックスにあやかって、私たち自身の未来が切り開かれることを願わずにはいられません。
  (2003,1,1)



最終処分場問題とデポジット

  管理型最終処分場の問題が、12月10日からの定例町議会でも最大のテーマだった。建設地をどこにするか、オープン型かクローズド型かが、これまでの主な論点。そして、その前提には、15年間で排出されるゴミ量が5万立米、との予測がある。その中で有害性が高い焼却灰は6千立米とされて、これを伐根などの他の一般ゴミと一緒に埋め立てる計画になっている。要するに、燃やせないゴミは何でもそこに入れてしまうという考え方だ。私はこの点に大きな問題があると感じている。こんなやり方ではどんなに大きな処分場を作っても間に合わない。いくら予算をかけても環境汚染の不安はなくならない。
  大事なのはゴミ量を減らす視点だ。私はこの7日、三重県四日市市のデポジット制度の法制化を求める市民グループ主催の集会で、八丈町の経験を話させて頂いた。ゴミ問題の解決と資源循環型社会をめざす全国の自治体から、今なお八丈町デポジットは注目を集めている。  (2002,12,15)



トビウオが売れなくなる理由

  島内の全ての小、中学生の学校給食をつくっている給食センターでは、島内で生産される食材も積極的に利用しているという。しかし、そのうち利用できるのはアシタバや里芋など野菜類だけで、魚介類は使わないそうだ。なぜ島の魚はダメなのか? それは、魚を子供たちに食べさせるためには、完全に骨を抜かなければならないからだそうだ。つまり、子どもたちが喉に骨を刺したらいけないので、完全に骨を抜き去った魚しか出せず、すでに加工済みの島外産のものしか使えない、というのだ。
  これじゃ、骨を口の中で器用により分けて食べる訓練ができず、魚が好きな子供は育つはずがない。こんな給食が日本全国で共通しているなら、そのうち日本は骨付き魚は食べることのできない人間ばかりになってしまう。そしてスーパーには骨なし切り身魚しか並ばなくなる。
  たとえ、八丈でトビウオ漁が復活しても、もはや昔のようにそれを大量に消費できるマーケットは日本から消滅してしまっているのだろう。(2002,11,28)



今すぐ光ファイバー通信網を作ろう

  19日夜、川島忠一都議から電話をいただいた。ブロードバンドに関して、かねてから調査をお願いしていた件で、ようやく結果が出たとの知らせである。川島都議の働きかけで実現した都議会自民党の調査によると、現在本土と八丈島を結んでいる光ファイバーは、すでに島のブロードバンド化に充分な容量をもっているという! しかも、島内に光ファイバー網を作るための国庫補助の道もあるらしい。だから、今日本全国で急速に普及してきているADSLの通信網よりはるかに速い、光ファイバーでの「超高速大容量通信回線」を、この八丈島に一挙に整備できる展望が広がったのだ。
  この件ではすでにユーザーの有志が「東京島嶼ブロードバンドをすすめる会」を立ち上げ、整備推進を求める運動が始まっている。また、それに呼応する形で、町も町議会もこれに協力する構えにはなってきていた。そうした中でのこの朗報である。是非とも短期間で最高の通信環境を整備していきたいものだ。 (2002,11,21)



アロエ畑の草取り

  今年も年末から来春にかけてアロエフェスタ開かれる。その準備として、メイン会場となる永郷のアロエ畑で、ここ数日間をかけて草取り作業が行われた。これは八丈町の委託を受けた観光協会が実施している作業で、シルバー人材センターの皆さんにも応援してもらいながら、観光協会会員のボランティアで行われている。私も会員の義務を果たすため、11月10日(日)に朝から丸1日、勤労奉仕に参加してきた。
20名近くの皆さんとともに、アロエのトゲで手にひっかき傷をつけながら、足場の悪い傾斜地での奮闘だった。だいぶ疲れはしたが、天気に恵まれ、すばらしい景色を楽しみながらの作業は能率良く進んだ。そして何よりも、協会の皆さんと力をあわせ島の観光を支えているという充実感を味わえる作業であった。 (2002,11,13)



議会が変わった!

正副議長の選出が初議会での最初の案件。候補者の意見表明の後、投票が始まった。

  2002年10月29日(火)午前9時から12時まで、町議選後初めての八丈町議会(臨時会)が開かれ、私もいく分緊張しながら初舞台に臨みました。この日は、正副議長選を手始めに、常任委員会、特別委員会等の人事が最重要の案件。正副議長選は、私を含む新人議員の要求で、候補者が意見表明を行った上で選挙が行われました。執行部と議会の一体化をめざすのか、執行部とは一線を画し、これをチェックする議会をめざすのかを問う選挙となり、結果は、私も与した後者の立場に立つ議員が正副議長選をともに制しました。
  今回の議会の動きを私の目で整理すれば、
  1.行政をチェックする機能を重視する議会となった。
  2.住民に開かれた議会へと変化し始めた。
  3.その中で、新人議員の存在が大きな役割を担っている。
というところです。                              (2002,10,30)



職業病?

  選挙が終わったというのに、車で街を走りながら歩いている人をみかけるとなぜか手を振りたくなってしまう。対向車が来てもなんとなく腕がむずむずする。う〜ん、癖になってしまったんだろうか?!
  それにしてもこの選挙戦では、多くの方々に言葉では尽くせないご支援をいただいた。感謝しきれない思いが人に会うたびにあふれてきて、車に乗っていても、ついつい手を振ってしまいたい衝動に駆られる。
ともかく、初当選を果たすことが出来たからには、これまで訴えてきた町づくりを実行していくこと以外に、本当の意味で皆さんにお返ししていく道はない。ただちに、「住民が主役の町づくり」、「人と自然を大切にする生き生きとした町づくり」に、全力をあげて取り組んでいきたい。(2002,10,23)


 

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